このチュートリアルでは、付属する Book プログラムのような既存の COBOL プログラムと連動する Web ページを作成する方法を示します。
このチュートリアルでは、Web ページの作成方法と、この Web ページを既存の COBOL プログラムと相互に動作させる方法を示します。Web ページはマネージ COBOL で生成されます。Web ページは、.NET データ型を COBOL データ形式にマッピングするための中間プログラムを呼び出します。中間プログラムは、ビジネスロジックを実行するための既存の COBOL プログラムを呼び出します。
この Web サイトには、次の3 つのプログラムがあります。
このチュートリアルを始める前に、以下の手順に従って WinBook例題の一部として提供されている BookWrapper と LegacyBook プロジェクトをビルドしておく必要があります:
これによって次の二つのバイナリ BookWrapper.dll および LegacyBook.dllが bin サブフォルダーに作成されます。
最初に、Web サイトを作成します。次の手順を行います。
WebBook Web サイトが作成され、ソリューション エクスプローラに表示されます。この Web サイトの構成は次のとおりです。
ソリューション エクスプローラには、Web サイトがプロジェクトと似たように表示されますが、Web サイトはプロジェクトではありません。Web サイトを簡単にパブリッシュできるようにするためのディレクトリです。詳細は、Visual Studio のヘルプトピック 『.NET開発\Webアプリケーション (ASP.NET) 』などを参照してください。このチュートリアルでは、その他の相違点を示します。次の違いがあります。
ここでは、フォームをペイントします。生成されたコードを確認することもできます。フォームのペイントについての基本情報は、『入門書』の『
Web フォームのレイアウトは、テキストエディタや HTML の場合と同様で、空白文字や改行を使用して行います。
コントロール | ID プロパティ | テキストプロパティ |
---|---|---|
ラベル | label1 | 在庫番号 |
テキストボックス | textBoxStockNo (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
ラベル | label2 | タイトル |
テキストボックス | textBoxTitle (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
ラベル | label3 | 価格 |
ラベル | label4 (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
テキストボックス | textBoxPrice (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
ボタン | button1 (大文字と小文字を区別します) | 検索 |
プロパティを表示するには、ラベルを右クリックしてから [プロパティ] をクリックします。該当するプロパティまでスクロールして編集します。
次に、ボタンクリックに対応するコードを追加する必要があります。このコードでは、レガシー COBOL プログラムを呼び出して、返された情報をフォームに入力する必要があります。
method-id button1_Click protected. local-storage section. 01 input-string string. 01 my-exception type System.Exception. procedure division using by value lnkSender as object lnkEvent as type System.EventArgs. set input-string to textBoxStockNo::Text try set my-book to type BookWrapper.Book::Read(input-string) invoke self::PopulateForm(my-book) catch my-exception invoke self::DisplayException(my-exception) end-try end method.
method-id PopulateForm final private. procedure division using my-book as type BookWrapper.Book. if my-book<>null set textBoxStockNo::Text to my-book::StockNumber set textBoxTitle::Text to my-book::Title set textBoxPrice::Text to type System.Convert::ToString(my-book::RetailPrice) else set textBoxStockNo::Text to "****" set textBoxTitle::Text to "*************************************" set textBoxPrice::Text to "****" end-if end method.
method-id DisplayException private. procedure division using by value lnkException as type System.Exception. set label4::Text to lnkException::Message set my-book to null invoke self::PopulateForm(my-book) end method.
次に、ビジネスロジックが含まれている既存の COBOL コードを追加して、フォームで使用できるようにする必要があります。このコードは、book.cbl を含む LegacyBook プロジェクトにあります。
さらに、データを .NET 型から COBOL 形式に変換するためのラッパーコードが必要です。Web ページでは .NET データ型が使用されます。このチュートリアルでは、System.String オブジェクトがこれにあたります。Book プログラムは、PIC X や PIC 99V99 などの COBOL 形式を使用します。付属のプログラム BookWrapper.cbl でこの変換が行われるので、このプログラムをソリューションに追加する必要があります。
book.cbl と BookWrapper.cbl を追加するには、次の手順を行います。
次に、ラッパーコードを呼び出し、my-book に関連する最後の赤い波線を消去するために、フォームにコードを追加する必要があります。
01 my-book type BookWrapper.Book.
BookWrapper が宣言されたので、解析エラーがなくなります。エラーがある場合には、Examples¥Visual Studio Integration¥Forms¥WebBook にあるデモンストレーションと比較して、違いを確認します。
Web.config ファイルで、<configuration/> 行の直後に次のテキストを追加します。
<!--The following code declares a section group for application configuration --> <configSections> <sectionGroup name="MicroFocus.COBOL.Application"> <section name="Switches" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" /> <section name="Environment" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" /> </sectionGroup> <!--The following code declares a section group for run-time configuration --> <sectionGroup name="MicroFocus.COBOL.Runtime"> <section name="Tunables" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" /> <section name="Switches" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" /> </sectionGroup> </configSections>
<appSettings /> <MicroFocus.COBOL.Application> <Switches/> <Environment> <add key="dd_bookfile" value="MyPath\bookfile.dat"/> </Environment> </MicroFocus.COBOL.Application>
これで、アプリケーションが実行可能な状態になります。
サンプルコードは、本 COBOL 開発システムの Examples¥Visual Studio Integration¥Forms ディレクトリにあります。
この book.cbl プログラムは、Micro Focus 製品に数年間添付されている昔からのデモプログラムです。このデモプログラムは、手続き型 COBOL で作成されています。このプログラムによって、書籍レコードを含む索引ファイルを読み書きします。
このソリューションでは、Book デモプログラムを変更しないで、マネージ コードとして再コンパイルします。プログラムを再コンパイルすることにより、クラスとして公開し、そのメインエントリポイントを静的メソッドとして公開します。
このプログラムの連絡節では、データが PIC X などの標準 COBOL 形式で定義されています。そのため、COBOL 以外のクライアントプログラムでは、これらのデータ形式を認識できません。クライアントプログラムと通信するためには、これらの形式を .NET と互換性がある型にマッピングする必要があります。このマッピングは、中間プログラム BookWrapper.cbl によって行われます。
クライアント Web フォーム Default.aspx.cbl は、COBOL として生成されます。ユーザーはこのフォームにデータを入力し、そこで戻りデータを受け取ります。クライアントフォームでは、次の処理が実行されます。
BookWrapper.cbl プログラムは、既存の COBOL プログラム book.cbl と Web フォームとの間の中間プログラムとして機能します。この中間プログラムにより、既存の COBOL を変更する必要がなくなります。
ここで重要な点は、複数の言語を使用する場合、互換性がある型を使用することです。Web フォームではデータを .NET 型として格納しますが、Book プログラムではデータを COBOL 形式と見なします。
BookWrapper プログラムの目的は、COBOL の PICTURE を .NET System.Strings にマッピングすることです。BookWrapper プログラムは、Web フォームからデータを System.Strings として受け取り、標準の COBOL データ形式にマッピングしてから既存の Book プログラムに渡します。
BookWrapper プログラムでは、次のように、クラス Book を宣言しています。
class-id. Book as "BookWrapper.Book"
オブジェクトの作業場所節では、コピーファイルを使用してブックレコードのデータ項目を次のように宣言しています。
object. data division. working-storage section. copy "book-rec-dotnet.cpy" replacing == (prefix) == by == book ==. ...
コピーファイル book-rec-dotnet.cpy では、book-details レコードを宣言しています。ここで、book-title と book-stockno を COBOL の Picture 形式で宣言し、プロパティとしても宣言します。したがって、Getter/Setter メソッドを使用してこれらにアクセスできます。コピーファイルには、次の内容が記述されています。
01 (prefix)-details. 03 (prefix)-text-details. 05 (prefix)-title pic x(50) property as "Title". ... 03 (prefix)-stockno pic x(4) property as "StockNumber".
次の get property メソッドでは、book-details レコードへのポインターを受け取ります。
method-id. get property "BookDetails". procedure division returning bookDetailsAddress as pointer. set bookDetailsAddress to address of book-details goback. end method.
Read メソッドは、次のように静的な節に記述されています。
method-id Read. local-storage section. 01 file-status pic xx. procedure division using by value stockno-in as string returning myBook as Book. set myBook to new Book() set myBook::StockNumber to stockno-in call BookLegacy using by value readRecord by value myBook::BookDetails by reference file-status invoke RaiseExceptionIfError using file-status goback. end method.
詳細は次のとおりです。
クライアントフォームから渡される、.NET の System.String である stockno が記述されています。返される Book クラスのインスタンスも記述されています。BookWrapper.cbl では、新規の .NET 型、Book が定義されています。Book は、任意の .NET 言語で書かれたプログラムで使用できます。
set myBook to new Book()
BookWrapper クラスの新規インスタンスを作成します。
set mybook::StockNumber
.NET の System.String (stockno) からデータを受け取り、myBook の StockNumber プロパティとして格納します。このプロパティは、コピーファイルで Picture 文字列として宣言されており、データは標準の COBOL データ形式として book-stockno に格納されます。COBOL コンパイラは、データを .NET 文字列から COBOL の USAGE DISPLAY 項目 (pic x) に暗黙的に変換します。
call BookLegacy using ...
レガシープログラム book.cbl を呼び出します。book.cbl プログラムに、myBook の「BookDetails」プロパティを渡します。BookWrapper.cbl のコードを見ると、BookDetails は book-rec-net.cpyで定義されている BookRecord 構造体へポインターを渡していることがわかります。この構造体は、古い book-rec.cpy の構造体と一致しているので、レガシーの Book プログラムが参照しているのは、参照で渡されているブックレコードですが、これは想定されていることです。Book は、このレコードから在庫番号を読み取って、索引ファイルから対象のレコードを読み取り、このレコードの他のフィールドにそのデータを書き込みます。
invoke RaiseExceptionIfError
ファイルの読み取りで返されたファイルのステータスを確認します。エラーがあった場合には、.NET 例外が発生します。例外は、エラー状態を通知するための標準の .NET メカニズムです。