ES/MSS と MFA サーバーの間の通信では、必要な LU6.2 プロトコル情報を TCP/IP パケットで伝送する独自に開発した TCP/IP プロトコルを使用します。MFA サーバー構成で使用する SYSID が、この通信のキーになります。定義例では、ターゲット z/OS CICS システムは CICS、ターゲット ES/MSS サーバーは MTO1 と、それぞれ指定されています。MFA サーバーと ES/MSS が交換する初期接続メッセージでは、これらの SYSID 値を使用して、2 つのターゲット システムを正確に指定します。
ES/MSS が MFA サーバーへのソケット接続を開始した場合、ES/MSS は「バインド」パケットを SYSID CICA に送信します。バインド パケットには、発信元の MSS の SYSID である MTO1 も格納されています。ES/MSS からの初期パケットは、CICS オプション クライアントからの初期パケットと同一なので、MFA サーバーはリクエスターのタイプを特定する必要があります。MFA サーバーが SYSID (定義の ES/MTOID) が MTO1 であるような ES/MSS サーバーの定義を検出し、要求の発信元がその定義で指定されている IP アドレスである場合、MFA サーバーはこれを ES/MSS サーバーからの要求であると認識します。それ以外の場合、この接続は CICS オプション クライアントからの要求であると認識されます。
ここで、CICS オプションは MFA サーバーの古いバージョンでサポートされており、そのため MFA サーバーのクライアントが z/OS CICS システムに要求を発信できることに注意することが重要です。これと同じレベルのサポートは、ES/MSS のアウトバウンド機能が使用できるようになる前に、ES/MSS システムも使用しています。このレベルのサポートでは、ES/MSS サーバーの定義は必要なく、ES/MSS のアウトバウンド機能のサポートも必要ではありません。この場合、唯一必要な定義は、ターゲット z/OS CICS システムの定義 (図のパート 2) および MFA サーバー CICS オプション サポートの有効化 (PARMS の文 MCO FEATURE=YES を使用) です。唯一必要なのが CICS に対する ES/MSS 要求である場合は、MFA サーバーをこの構成で使用し続けることができます。ただし、推奨するのは、� の付録で説明する構成要件に従い、MFA サーバーの ES/MSS アウトバウンド機能を使用するシステムに完全な双方向接続を定義する構成です。こうすることで、最小限の手間で、システムが必要なときに ES/MSS への CICS 要求をサポートする準備が整います。また、完全な構成により、z/OS CICS システムが各 ES/MSS を一意に識別できるようになるという結果も得られます。
初期接続が確立すると、ES/MSS 定義と CICS 定義が選択され、MFA サーバーは ES/MSS から要求を受信して LU6.2 ISC 接続経由で z/OS CICS に送信するために必要な情報をすべて取得します。MFA サーバーは、この ES/MSS に定義されている MFAMTO1 ACB を使用して、LU6.2 会話を割り当てます。会話パートナは CICSSYSA という名前の ACB を使用する z/OS CICS システムであり、会話の SNA セッションでは #INTER SNA ログモードが使用されます。VTAM SNA ログモードは VTAM SNA 構成の一部であり、提示される名前はシステムの LU6.2 ISC 接続で使用している他のログモード名に変更できます。指定したログモード定義に MFA サーバーと CICS の両方からアクセスできることだけは確認してください。このサンプル定義で使用している MFAMTO1 ACB 名は、VTAM APPL 定義を使用する VTAM SNA ネットワーク に定義されます。MFAMTO1 の APPL 定義は、MFA サーバーの別のサンプルである <hlq>.CNTL データ セットの MFAVTAM メンバーで提供されています。このメンバーは、VTAMLST 定義にインストールされ、MFA サーバーのインストール中に有効化されます。
定義する ES/MSS サーバーごとに固有の ACBNAME を指定する必要があります。z/OS CICS システムでは、この ACBNAME を使用して各サーバーを一意に識別します。