本チュートリアルでは、COBOL Web アプリケーション プロジェクトの作成方法、およびそのプロジェクトを既存の COBOL プログラムと連携させる方法を紹介します。プロジェクトには、.NET COBOL で生成されたページが含まれます。このページは、.NET データ型を COBOL データ型にマッピングするための中間プログラムを呼び出します。その後、中間プログラムは既存の COBOL プログラムを呼び出して、ビジネス ロジックを実行します。
この Web アプリケーション プロジェクトには、次の 3 つのプログラムがあります。
最初に、Web アプリケーション プロジェクトを作成します。次の手順を行います。
BookDemoWebApplication プロジェクトが作成され、ソリューション エクスプローラーに表示されます。このプロジェクトには次のものが含まれます。
次に、ビジネス ロジックが含まれている既存の COBOL コードを追加して、フォームで使用できるようにする必要があります。このコードは、book.cbl を含む LegacyBook プロジェクトにあります。
さらに、データを .NET 型から COBOL 型に変換するためのラッパー コードが必要です。プロジェクトでは .NET データ型が使用されます。本チュートリアルでは、System.String オブジェクトがこれにあたります。Book プログラムは、PIC X や PIC 99V99 などの COBOL 型を使用します。付属のプログラム BookWrapper.cbl でこの変換が行われるため、このプログラムをソリューションに追加する必要があります。
提供されるファイルは、%PUBLIC%\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\Samples および Forms サブフォルダーにあります。
Web アプリケーション プロジェクトに依存コードを含める場合は、次の手順で、そのコードへの参照をソリューションに追加する必要があります。
これで、プロジェクトがソリューションの [参照設定] フォルダーに追加されました。
次に、ラッパー コードを呼び出すために、フォームにコードを追加する必要があります。
01 my-book type BookWrapper.Book.
BookWrapper が宣言されたため、解析エラーがなくなります。エラーがある場合には、Samples の Forms\BookDemoWebApplication サブフォルダーにあるデモンストレーションと照合して、違いを確認します。
<!--The following code declares a section group for application configuration -->
<configSections>
<sectionGroup name="MicroFocus.COBOL.Application">
<section name="Switches" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" />
<section name="Environment" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" />
</sectionGroup>
<sectionGroup name="MicroFocus.COBOL.Runtime">
<section name="Tunables" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" />
<section name="Switches" type="System.Configuration.NameValueSectionHandler" />
</sectionGroup>
</configSections> Web.config ファイルで、</configSections> 行の直後に次のテキストを追加します。
<MicroFocus.COBOL.Application>
<Switches/>
<Environment>
<add key="dd_bookfile" value="MyPath\bookfile.dat"/>
</Environment>
</MicroFocus.COBOL.Application> MyPath は、Samples ディレクトリ内の BookData サブフォルダーにあるデータ ファイル bookfile.dat へのフル パスに置き換える必要があります。
ここでは、フォームをペイントします。生成されたコードを確認することもできます。フォームのペイントの基本情報については、「チュートリアル:.NET COBOL アプリケーションの開発」を参照してください。
Web フォームのレイアウトは、テキスト エディターや HTML の場合と同様で、空白文字および改行を使用して行います。
コントロールのプロパティを表示するには、デザイナーでコントロールをクリックして、[プロパティ] ペインにそのプロパティを表示します。該当するプロパティまでスクロールして編集します。
コントロールをダブルクリックすると、コントロールのイベントが作成されますが、それは次の手順で行います。次の値で、プロパティを編集します。| コントロール | ID プロパティ | テキスト プロパティ |
|---|---|---|
| ラベル | label1 | カタログ検索 |
| ラベル | catalogNumberLabel | カタログ番号 |
| テキスト ボックス | textBoxStockNo (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
| ボタン | searchButton | 検索 |
| ラベル | errorLabel | ファイル状態 また、[Visible] プロパティを [False] に設定します。 |
| テキスト ボックス | errorField | (空白) また、[Visible] プロパティを [False] に設定します。 |
| ラベル | label2 | 結果 |
| ラベル | titleLabel | タイトル |
| テキスト ボックス | textBoxTitle (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
| ラベル | authorLabel | 作成者 |
| テキスト ボックス | textBoxAuthor | (空白) |
| ラベル | typeLabel | タイプ |
| テキスト ボックス | textBoxType | (空白) |
| ラベル | priceLabel | 価格 |
| テキスト ボックス | textBoxPrice (大文字と小文字を区別します) | (空白) |
| ラベル | soldLabel | 販売済み |
| テキスト ボックス | textBoxSold | (空白) |
| ラベル | onHandLabel | 手持在庫 |
| テキスト ボックス | textBoxOnhand | (空白) |
| ラベル | stockValueLabel | 在庫価値 |
| テキスト ボックス | textBoxStockValue | (空白) |
次に、ボタン クリックに対応するコードを追加する必要があります。このコードでは、レガシー COBOL プログラムを呼び出して、返された情報をフォームに入力する必要があります。
method-id searchButton_Click protected.
working-storage section.
01 aBook type BookWrapper.Book.
01 anException type System.Exception.
local-storage section.
procedure division using by value lnkSender as object by value lnkEvent as type EventArgs.
try
set aBook to type BookWrapper.Book::Read(textBoxStockNo::Text)
invoke self::PopulateForm(aBook)
catch anException
invoke self::DisplayException(anException)
end-try
end method. method-id PopulateForm final private.
procedure division using aBook as type BookWrapper.Book.
if aBook <> null
set errorLabel::Visible to false
set errorField::Visible to false
set textBoxStockNo::Text to aBook::StockNumber
set textBoxTitle::Text to aBook::Title
set textBoxAuthor::Text to aBook::Author
set textBoxType::Text to aBook::Type
set textBoxPrice::Text to type System.Convert::ToString(aBook::RetailPrice)
set textBoxOnhand::Text to type System.Convert::ToString(aBook::NumberOnHand)
set textBoxSold::Text to type System.Convert::ToString(aBook::NumberSold)
set textBoxStockValue::Text to type System.Convert::ToString(aBook::StockValue)
else
set textBoxStockNo::Text to "****"
set textBoxTitle::Text to "*************************************"
set textBoxAuthor::Text to "*************************************"
set textBoxType::Text to "****"
set textBoxPrice::Text to "****"
set textBoxOnhand::Text to "****"
set textBoxSold::Text to "****"
end-if
end method. method-id DisplayException private.
procedure division using by value lnkException as type System.Exception.
set my-book to null
set errorLabel::Visible to true
set errorField::Visible to true
set errorField::Text to lnkException::Message
invoke self::PopulateForm(my-book)
end method. これで、アプリケーションが実行可能な状態になります。
新しいブラウザー インスタンスで Web アプリケーションが起動します。
カタログ番号 [1111] および [2222] のデータを検索できます。
このデモンストレーションの実行で問題が発生した場合は、Samples フォルダーにある同じサンプルとアプリケーションを比較できます。
この book.cbl プログラムは、Micro Focus 製品に長らく同梱されているデモ プログラムです。このデモ プログラムは、手続き型 COBOL で作成されています。このプログラムによって、ブック レコードを含む索引ファイルを読み書きします。
このソリューションでは、Book デモ プログラムを変更しないで、.NET コードとして再コンパイルします。プログラムを再コンパイルすることにより、クラスとして公開し、そのメイン エントリ ポイントを静的メソッドとして公開します。
このプログラムの連絡節では、データが PIC X などの標準 COBOL 型で定義されています。そのため、COBOL 以外のクライアント プログラムでは、これらのデータ型を認識できません。クライアント プログラムと通信するためには、これらの型を .NET と互換性がある型にマッピングする必要があります。このマッピングは、中間プログラム BookWrapper.cbl によって行われます。
クライアント Web フォーム Default.aspx.cbl は、COBOL として生成されます。ユーザーはこのフォームにデータを入力し、そこで戻りデータを受け取ります。クライアント フォームでは、次の処理が実行されます。
BookWrapper.cbl プログラムは、既存の COBOL プログラム book.cbl と Web フォームとの間の中間プログラムとして機能します。この中間プログラムにより、既存の COBOL を変更する必要がなくなります。
ここで重要な点は、複数の言語を使用する場合、互換性がある型を使用することです。Web フォームではデータを .NET 型として格納しますが、Book プログラムではデータを COBOL 型と見なします。
BookWrapper プログラムの目的は、COBOL の PICTURE を .NET System.Strings にマッピングすることです。このプログラムは、Web フォームからデータを System.Strings として受け取り、標準の COBOL データ型にマッピングしてから既存の Book プログラムに渡します。
作業場所節では、コピーブックを使用してブック レコードのデータ項目を次のように宣言しています。
working-storage section.
copy "book-rec-dotnet.cpy" replacing == (prefix) == by == book ==.
...
コピーブック book-rec-dotnet.cpy では、book-details レコードを宣言しています。ここで、book-title および book-stockno を COBOL の Picture 型で宣言し、プロパティとしても宣言します。したがって、Getter/Setter メソッドを使用してこれらにアクセスできます。コピーブックには、以下が含まれます。
01 (prefix)-details.
03 (prefix)-text-details.
05 (prefix)-title pic x(50) property as "Title".
...
03 (prefix)-stockno pic x(4) property as "StockNumber".
次の property メソッドでは、book-details レコードへのポインターを受け取ります。
property-id BookDetails pointer.
getter.
set property-value to address of book-details
end property.
Read メソッドは、次のように実装されています。
method-id Read static.
local-storage section.
01 file-status pic xx.
procedure division using by value stockno-in as string
returning myBook as type BookWrapper.Book.
set myBook to new BookWrapper.Book()
set myBook::StockNumber to stockno-in
call "BookLegacy" using by value readRecord
by value myBook::BookDetails
by reference file-status
invoke self:RaiseExceptionIfError(file-status)
goback.
end method.
詳細は以下のとおりです。
procedure division using ...
クライアント フォームから渡される、.NET の System.String である stockno-in が記述されています。また、返される Book クラスのインスタンスも表示されます。BookWrapper.cbl では、新規の .NET 型である Book が定義されています。Book は、任意の .NET 言語で書かれたプログラムで使用できます。
set myBook to new BookWrapper.Book()
BookWrapper クラスの新規インスタンスを作成します。
set mybook::StockNumber
.NET の System.String (stockno-in) からデータを受け取り、myBook の StockNumber プロパティとして格納します。このプロパティは、コピーブックで Picture 文字列として宣言されており、データは標準の COBOL データ形式として book-stockno に格納されます。COBOL コンパイラは、データを .NET 文字列から COBOL の USAGE DISPLAY 項目 (pic x) に暗黙的に変換します。
call BookLegacy using ...
レガシー プログラム book.cbl を呼び出します。book.cbl プログラムに、myBook の「BookDetails」プロパティを渡します。BookWrapper.cbl のコードを見ると、BookDetails は book-rec-net.cpy で定義された BookRecord 構造体へのポインターを渡すことがわかります。この構造体は古い book-rec.cpy の構造体と一致します。したがって、従来の Book プログラムが見るのは、参照によって渡されるブック レコードです。これは想定通りの動作です。Book は、このレコードから在庫番号を読み取って、索引ファイルから対象のレコードを読み取り、このレコードの他のフィールドにそのデータを書き込みます。
invoke self::RaiseExceptionIfError(file-status)
ファイルの読み取りで返されたファイルのステータスを確認します。エラーがあった場合には、.NET 例外が発生します。例外は、エラー状態を通知するための標準の .NET メカニズムです。