第 8 章 : 通信プロセスとサービスリスナー

ここでは、通信プロセスとサービスリスナーオブジェクト、およびこれらを使用して実行できる作業について説明します。

はじめに

通信プロセスはエンタープライズサーバの構成要素で、クライアントとエンタープライズサーバの間の通信を処理します。 通信プロセスには、多数のサービスリスナーがあります。 エンタープライズサーバには、作成時には通信プロセスが 1 つありますが、通信プロセスは追加することができます。 必要な通信プロセスの数については、『構成』の章の『通信プロセスの数』の節を参照してください。

サービスリスナーは、サービスのために着信クライアント要求を受信するネットワークアドレスを含むオブジェクトです。 サービスには複数のリスナーを含むことができ、1 つのリスナーでは複数のサービスのためにクライアント要求を受信できます。

管理者としての作業は、次のとおりです。

通信プロセスとリスナー情報

リポジトリ内に保存されている、通信プロセスおよびリスナーの情報を表示するには、ホームページで、対象とするエンタープライズサーバの「通信プロセス」カラムで [詳細] をクリックします。通信プロセスおよびリスナーのテーブルを図 8-1 に示します。

通信プロセスとサービスリスナーのテーブル

図 8-1: 通信プロセスとサービスリスナーのテーブル

通信プロセスの情報は、次のとおりです。

通信プロセスには名前はなく、かわりに連続番号があります。 新しくエンタープライズサーバを追加した時に自動的に作成される通信プロセスは Communications Process 1 です。その後に作成する通信プロセスには、作成順に昇順の番号が付けられます。 通信プロセスを削除した場合、既存の通信プロセスの番号は変わりませんが、次に作成する通信プロセスには、削除されたプロセスと同じ番号、つまり使用可能な最小の番号が付けられます。

リスナーの情報は、次のとおりです。

リスナー表示フィルタは、表示するリスナー情報を制御します。 リスナー情報は、最初の通信プロセスの情報のすぐ上に表示されます。 リスナー表示フィルタには、次の 3 種類があります。

それぞれのフィルタには、フィールドに応じて多数の異なるオプションがあります。たとえば、「プロセス」フィルタを使用すると、リスナーの詳細をまったく表示しないか、全リスナーの詳細を表示するか、特定の通信プロセスに対してリスナーの詳細を表示するかを選択できます。また、「ステータス」フィルタでは、ステータスに関係なく全リスナーの詳細を表示するか、特定のステータスのリスナーのみ詳細を表示するかを選択できます。

たとえば、通信プロセス 2 のリスナーの詳細を表示するには、「リスナー表示フィルタ、プロセス」で [2] を選択します。Web サービスと J2EE のリスナーのみを表示するには、「リスナー表示フィルタ、会話タイプ」で [Web サービスと J2EE] を選択します。すべてのリスナーの詳細を表示するには、3 つすべてのフィルタで [すべて] を選択します。 すべてのフィルタを組み合わせて使用すると、表示するレベルを最大限に制御できます。

通信プロセスおよびリスナーのテーブルを最初に表示すると、「プロセス」フィルタは [なし] に、他のフィルタは [すべて] に設定されています。

構成情報

通信プロセスまたはリスナーに特有の構成データについては、「通信プロセスの編集」ページ、「リスナーの追加」ページ、「リスナーの編集」ページの「構成情報」フィールドを使用できます。

通信プロセス

「通信プロセスの編集」ページの「構成情報」フィールドには、次のセクションと設定を指定できます。

[CCI]
timeout-grain=timeout-grain-number-of-seconds
[ISC]
listener-wait=listener-wait-number-of-seconds
[listeners]
logging=logging-level
[MFCC]
trace=trace-setting
[threading]
limit=number-of-threads

パラメータを、次に示します。

timeout-grain

CCI タイムアウトを秒数で指定します。 MFCS タイムアウトは、この値の倍数に切り上げられます。

構文:
timeout-grain=timeout-grain-number-of-seconds
        
プロパティ:
デフォルト: 5 秒
備考:

MFCS (communications process; 通信プロセス) では、会話とリスナーのセットはデータを受信するタイムアウト値をそれぞれ独自に設定します。ただし、MFCS は CCI の一部として動作しており、CCI はプロセス全体に対してグローバルなタイムアウトを 1 つだけ保持しています。このため、MFCS タイムアウト値の精度は、CCI タイムアウトの設定による制限を受けます。 デフォルトより大きな値を設定すると、MFCS タイムアウトの精度は低くなりますが、CPU の使用、割り込み、その他の要因が軽減されパフォーマンスが向上します。

listener-wait (MTO のみ)

ISC から他の MTO インスタンスまたは別の ISC 互換システムへの接続を開始する場合に、ローカルな ISC リスナーが使用可能になるまでの待機秒数を指定します。

構文:
listener-wait=listener-wait-number-of-seconds
        
プロパティ:
デフォルト: 10 秒
備考:

MFCS には、ISC からの通信をサポートするために使用可能な ISC リスナーが必要です。 これは、起動時の ISC からの接続が設定されている場合に最も便利です。

logging

リスナーを起動する際に、追加ログ処理を有効にします。

構文:
logging=logging-level
        
パラメータ:
logging-level次の値が指定できます。
0追加ログ処理なし (デフォルト)
1 または Yes基本ログ処理。追加の CCI エラー情報も記録します。
2CCI のロード処理および構成、リスナーのアドレス情報も記録します。
プロパティ:
デフォルト: 0
trace

mf-client.dat ファイルとともに、MFCC (common client; 共通クライアント) のトレースを制御します。

構文:
trace=trace-setting
        
パラメータ:
trace-setting次の値が指定できます。
0MFCC トレースを無効にします。
ゼロ以外の任意の値 MFCS の起動時に MFCC トレースを有効にします。
プロパティ:
デフォルト: 0
備考:

MFCC トレースはデフォルトでは無効ですが、mf-client.dat ファイルで有効にすることができます。 MFCS は起動時に MFCC を使用して、コントロールチャネルが動作していることを確認します。 MFCC トレースが mf-client.dat ファイルで有効になっている場合は、このオプションを「0」に設定して MFCS 内での MFCC トレースを無効にできます。 または、ゼロ以外の値に設定して、MFCS の起動時に MFCC トレースを有効にして、障害を診断することもできます。

limit

スレッド数の制限を指定します。

構文:
limit=number-of-threads
        
プロパティ:
デフォルト: Windows では 2000、UNIX では 200
備考:

MFCS は、システムの制限を超えないようにするために、開始するスレッドの数を制限します。 現在、MFCS はアクティブな会話ごとに 1 つのスレッドを使用するため、この制限は同時に行われる会話の数に直接影響します。 オペレーティングシステムは、指定された数のスレッドを MFCS が実際に作成することを許可しないことがあるので注意してください。

サービスリスナー

リスナーオブジェクトの使用可能な構成設定は、リスナーの会話タイプに応じて決まります。 構成設定は、会話タイプによって次のようにグループ化されます。

Web Services と J2EE

この会話タイプに設定はありません。

Web

これらのオプションは、各要求に対してチェックされます。

[virtual paths] セクションは、URL で指定したトップレベルのパス要素と、それに対応する実際のファイルシステムディレクトリの間で変換を行うために使用します。 たとえば、URL「http://host/path/to/file」の場合、 「path」のエントリに対して [virtual paths] セクションが照会されます。 このセクションのエントリでは、大文字と小文字を区別します。 この設定の詳細については、『構成』の章の『ディプロイサービスとディプロイリスナー』の節を参照してください。

[allow] セクションは、指定したディレクトリ以外で Web コネクタがサービスを行うファイルを制限します。

[options]
logging=logging-level 
[virtual paths]
<default>=default-directory
element=file-system-path
[allow]
element=list-of-filenames
        
logging

記録する情報を制御します。

構文:
logging=logging-level 
パラメータ:
logging-level次の値が指定できます。
yes または 1 Web 要求の処理での、パス変換や CGI プログラム実行など、さまざまな情報を記録します。
その他の値 ログ処理なし
プロパティ:
デフォルト: ログ処理なし
<default>

認識されない URL のトップレベルのパス要素がマップされるディレクトリを指定します。

構文:
default=default-directory
        
プロパティ:
デフォルト: /dev/null
備考:

デフォルトのディレクトリは、存在しないディレクトリにする必要があります。これにより、通信プロセスが URL を完全パスに変換すると要求は失敗します。

element in [virtual paths] Section

element がマップされるファイルシステムパスを指定します。

構文:
 element=file-system-path
        
パラメータ:
elementelement がマップされるファイルシステムパス。element は、URL のパスのトップレベル (先頭) 要素でなければなりません。 値の先頭には、特殊なトークンを指定できます。
<ES>: Windows の基本インストールディレクトリへのパスか、または UNIX の場合には $COBDIR に置き換えられます。
<ASEE>:ES の従来の同義語
<$name>: 環境変数 name の内容に置き換えられます。
element in [allow] Section

1 つ以上のファイル名またはワイルドカードのパターン指定を、スペースで区切ってリストします。この仮想パス上のファイルがコネクタでサービスされます。

構文:
            element=list-of-filenames
        
パラメータ:
elementelement がマップされるファイルシステムパス。
list-of-filenamesゼロ個以上のファイル名またはファイル名パターンを、スペースで区切ったリスト。 これらのファイル名のいずれかに一致するファイルのみがサービスされます。使用できるワイルドカードは、「?」 (任意の 1 文字に一致) と「*」 (ゼロ個以上の文字に一致) です。
プロパティ:
デフォルト: 全ファイルへのサービスを許可

Fileshare

Fileshare コネクタは、各会話の開始時にこれらの設定をチェックします。 設定の変更は、次の会話から有効になります。

[Operation]
timeout=number-of-seconds
[Trace]
control=control-flow-trace
data=data-trace
file=pathname
timeout

クライアントからデータを受信する場合のタイムアウトを秒数で設定します。

構文:
timeout=number-of-seconds
        
プロパティ:
デフォルト: 通信プロセスのタイムアウト。7200 秒 (2 時間) です。
control

コネクタの制御フローのトレースを有効にします。

構文:
control=control-flow-trace
        
パラメータ:
control-flow-traceさまざまなコネクタの動作 (エンタープライズサーバに要求を渡すなど) をトレースする場合は「yes」に設定します。
プロパティ:
デフォルト: 制御フローのトレースは無効です。
data

送信および受信したデータのトレースを有効にします。

構文:
data=data-trace
        
パラメータ:
data-traceデータをトレースする場合は「yes」に設定します。
プロパティ:
デフォルト: データのトレースは無効です。
file

トレースメッセージを書き込むファイルの完全パスを指定します。

構文:
file=pathname
        
プロパティ:
デフォルト: トレースメッセージは MFCS ログに書き込まれます (HTML 形式で)。

TN3270

TN3270 コネクタは、以下の設定を定期的にチェックします。設定の変更は、現在の会話および新しい会話に影響を及ぼします。

[logging]
client-close=client-close-logging
[Operation]
default-terminal-type=terminal-type-name
Timeout=number-of-seconds
TN3270E=negotiation-type
[Trace]
trace=control-flow-trace
data=data-trace
length=trace-length
sem=send-semaphore-trace
file=trace-filename
        
client-close

クライアントの接続解除のログ処理を制御します。

パラメータ:
client-close-logging 「yes」に設定すると、クライアントの正常な接続解除が記録されます。
プロパティ:
デフォルト: クライアントの異常な接続解除のみを記録します。
default-terminal-type

クライアントから送信された正しくないターミナルタイプを無効にします。

パラメータ:
terminal-type-name「ibm-3278-2」などの、有効なターミナルタイプ名。
プロパティ:
デフォルト: なし
備考:

TN3270 の会話ネゴシエーションでは、エミュレートしているターミナルタイプをサーバに通知します。 TN3270E は、許可されているターミナルタイプのセットを指定しますが、Classic TN3270 では要件はそれほど厳しくありません。TN3270E クライアントの中には、仕様に準拠していないものもあります。 コネクタは、不正なターミナルタイプを受信した場合、通常はクライアントに対して別のタイプを指定するよう求めます。クライアントの中には (NetManage ViewNow など) 正しく応答しないものがあります。 このような場合は、次の設定を行うことをお奨めします。

Timeout

受信タイムアウトを秒数で指定します。

構文:
Timeout=number-of-seconds
        
プロパティ:
デフォルト: 84600 秒 (1 日)
TN3270E

TN3270E (拡張 TN3270) ネゴシエーションを無効にします。

構文:
TN3270E=negotiation-type
        
パラメータ:
negotiation-type「no」に設定すると、TN3270E ネゴシエーションが無効になります。
プロパティ:
デフォルト: 拡張 TN3270 ネゴシエーションは有効です。
備考:

この設定は、Classic TN3270 のみをサポートし、TN3270E ネゴシエーションを正しく行わないような、非常に特殊なクライアントの場合に役に立つことがあります (現在、そのようなクライアントは知られていません)。

trace

コネクタ内の制御フローのトレースを有効にします。

構文:
trace=control-flow-trace
        
パラメータ:
control-flow-trace「yes」に設定すると、制御フローのトレースが有効になります。
プロパティ:
デフォルト: トレースは無効です。
data

データのトレースを有効にします。

構文:
data=data-trace
        
パラメータ:
data-trace次の値が指定できます。
yes
または
all
すべてのデータフローをトレースします。
nvt
NVT モードのみのデータフローをトレースします (基本的にはネゴシエーション中のみ)。
その他データのトレースは無効です。
プロパティ:
デフォルト: トレースは無効です。
length

データトレースに書き込むデータの最大バイト数を指定します。

構文:
length=trace-length
        
プロパティ:
デフォルト: 40 バイト
sem

送信セマフォでのオペレーションのトレースを有効にします。

構文:
sem=send-semaphore-trace
        
パラメータ:
send-semaphore-trace「yes」に設定すると、送信セマフォでのオペレーションがトレースされます。
プロパティ:
デフォルト: トレースは無効です。
備考:

この設定は、送信セマフォに問題があると疑われる場合に役に立つことがあります。会話がハングしても、ESMAC がビジー表示をしないためです。

file

トレースメッセージを書き込むファイルの完全パスを指定します。 ファイルは HTML 形式です (Fileshare や ISC トレースの場合とは異なります)。

構文:
file=trace-filename
        
プロパティ:
デフォルト: トレースメッセージは MFCS ログに書き込まれます (HTML 形式で)。

MTO ISC

ISC コネクタは、各会話の開始時に [Operation] セクションの設定をチェックします。 設定の変更は、次の会話から有効になります。

ISC コネクタは、各会話の際に以下の [Trace] セクションを定期的にチェックするため、新しい会話と既存の会話の両方で設定の変更が有効になります。

[Operation]
timeout=number-of-seconds
[Trace]
trace=control-flow-trace
data-trace=data-trace-setting
allmax=dump-size
file=pathname
timeout

クライアントからデータを受信する場合のタイムアウトを秒数で設定します。

構文:
timeout=number-of-seconds
        
プロパティ:
デフォルト: 通信プロセスのタイムアウト。7200 秒 (2 時間) です。
trace

コネクタ内の制御フローのトレースを有効にします。

構文:
trace=control-flow-trace
        
パラメータ:
control-flow-traceさまざまなコネクタの動作 (エンタープライズサーバに要求を渡すなど) をトレースする場合は「yes」に設定します。
プロパティ:
デフォルト: トレースは無効です。
data-trace

送信および受信したデータのトレースを有効にします。

構文:
data-trace=data-trace-setting
        
パラメータ:
data-trace-setting次の値が指定できます。
no
データフローをトレースしません。
header
CTG プロトコルヘッダーのフォーマットされたトレースを作成します。
fmh
または
structure
CTG ヘッダー、要求ヘッダー、応答ヘッダーのフォーマットされたトレースを作成します。
all
ユーザデータのヘッダーおよびダンプのフォーマットされたトレースを作成します。
dump
全データのフォーマットしていないダンプを作成します。
プロパティ:
デフォルト: トレースは無効です。
allmax

data-trace-setting が「all」の場合、ユーザデータのダンプに書き込むデータの最大バイト数を設定します。

構文:
allmax=dump-size
        
パラメータ:
dump-sizeデータをすべて書き込む場合は、0 (無制限) に設定します。
プロパティ:
デフォルト: 無制限。つまり、データをすべて書き込みます。
file

トレースメッセージを書き込むファイルの完全パスを指定します。 ファイルはテキストファイルです。

構文:
file=pathname
        
プロパティ:
デフォルト: トレースメッセージは MFCS ログに書き込まれます (HTML 形式で)。

実行できる作業

Modify またはそれ以上のアクセス権をもつ場合は、次の作業ができます。

Add/Delete またはそれ以上のアクセス権をもつ場合は、次の作業もできます。

新しく作成された通信プロセスは、「コピー」ページで「自動開始」をチェックしている場合はただちに開始されます。チェックしていない場合は、「通信プロセスとリスナー」ページでプロセスの [開始] ボタンをクリックして開始します。 「自動開始」が有効になっている通信プロセスは、エンタープライズサーバの起動時に自動的に開始されます。

サービスリスナーを初めて追加した際は、サービスリスナーのステータスを「閉鎖」、「無効」、または「停止」のどれかに設定できます。サービスリスナーステータスを「開始」に設定するには、「リスナーの編集」ページを使用します。 リスナーステータスの詳細については、コンテキストヘルプを参照してください。

方法...


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