ここでは、Fileshare で使用できる高度な機能について説明します。
注:Mainframe Express では、Fileshare がサポートされるのは Mainframe Express の構成要素で使用する場合のみです。 そのため、Fileshare を使用する書き込みアプリケーションに関する次の情報の一部は、Mainframe Express ユーザーには該当しません。
Fileshare の構成によっては、Fileshare をシングルユーザーモードで実行できます。 すべてのネットワーク通信はバイパスされ、Fileshare クライアントは、Fileshare サーバーモジュールを直接呼び出します。 この操作モードでは、Fileshare サーバーが別のプロセスとして動作するわけではありません。
Fileshare をシングルユーザーモードで使用すると、次の場合に便利です。
Fileshare をシングルユーザーモードで実行するには、FSCOMMS 環境変数を $local
に設定します。次に例を示します。
Windows set FSCOMMS=$local
UNIX set FSCOMMS="\$local"
export FSCOMMS
Fileshare をシングルユーザーモードで実行している場合でも、Fileshare クライアントに対して使用する Fileshare サーバーを通知する必要があります。その場合は、プログラムファイル名の一部として Fileshare サーバー名を指定する、または Fileshare クライアントの構成ファイルで Fileshare サーバー名を指定します。
Fileshare サーバーは、Fileshare サーバーの構成ファイルで通常の方法により構成します。 この構成ファイルには、最低でも Fileshare サーバー名を定義する必要があります。
注:Fileshare サーバーは、シングルユーザーモードで動作している場合には、画面を制御できません。 すべての画面出力は、現在の Fileshare クライアントディレクトリのファイル fsscreen.lst に送信されます。 プログラムに障害が発生した場合は、このファイルでメッセージを確認してください。
ファイル名マッピングを使用すると、プログラムの実行時に 1 つのデータファイルに対する入出力要求を別のデータファイルにマップできます。 たとえば、ファイル名マッピングを使用すると、DOS のファイル命名規則を使用するアプリケーションから、UNIX や NetWare のような別のファイル命名規則を使用するオペレーティング システムで動作中の Fileshare サーバーにより制御されるデータファイルへアクセスできます。
ファイル名マッピングを使用するために、Fileshare クライアントの構成を変更する必要はありません。
ファイル名マッピングを使用可能にするには、データベース参照ファイルで /f
オプションと /af
(代替ファイル名) オプションを使用します。
/af
オプションと /fs
(ファイル名の文字列) オプションを同時に指定すると、ファイル名の先頭にある文字列を置換できます。 このオプションは、パス名をマップする場合に非常に便利です。
たとえば、次のように記述します。
fs /d dbase.ref /f old.dat /af new.dat fs /d dbase.ref /fs c: /af e:
この例では、データベース参照ファイル dbase.ref に対して、次のような指定を行います。
代替ファイル名が指定されている場合には、/fs
オプションで指定する文字列の置換は、新しいファイル名に対して適用されます。
/fs
オプションで指定する文字列の置換を処理した後で、Fileshare サーバーが、新しいファイル名を指定した /f
オプションをデータベース参照ファイルで検索することはありません。
/f
オプションの後にファイルの完全パスを指定していない場合、または、Fileshare クライアントからファイルの完全パスが渡されていない場合には、Fileshare は、すべてのファイル名を Fileshare サーバーの現在のディレクトリに対する相対パスとして処理します。
Fileshare サーバーが UNIX オペレーティング システム以外で実行されている場合は、すべてのファイル名とパスに大文字を使用する必要があります。また、この場合には、すべてのファイル名とパスは、ファイルを完全に一致させるために完全パス名を含むように拡張されます。 ただし、/af
オプションを指定したファイル名は、変更されません。
例 1
fs /d dbase.ref /f file1.dat /af c:\data\file2.dat
この例では、データベース参照ファイル dbase.ref に対して、ファイル file1.dat へのアクセスを代替ファイル file2.dat にマップするエントリを指定しています。
例 2
fs /d dbase.ref /f file1.dat /af c:\data\file2.dat fs /d dbase.ref /fs c: /af e:
この例では、データファイル file1.dat への要求をすべて代替ファイルにリダイレクトし、さらに、文字列の置換を使用して代替ファイルのドライブ名を e: ドライブに変更するエントリを、データベース参照ファイル dbase.ref に対して指定しています。
Fileshare サーバーの構成によっては、データ圧縮およびキー圧縮を使用してデータファイルを作成できます。
データファイルのデータ圧縮やキー圧縮を使用するために、Fileshare クライアントの構成を変更する必要はありません。
データファイルのデータ圧縮やキー圧縮を使用可能にするには、データベース参照ファイルで /k
オプションを指定します。 /k
オプションと d
オプションを同時に指定すると、データ圧縮を使用可能にします。/k
オプションと i
オプションを指定すると、キー圧縮を使用可能にします。
d
オプションと i
オプションの後に指定する値は、DATACOMPRESS コンパイラ指令と KEYCOMPRESS コンパイラ指令で指定する値と同じになります。
データベース参照ファイルのデータ圧縮およびキー圧縮に関する指定は、Fileshare サーバーがデータファイルを作成するときのみに有効になります。 これらの指定は、既存のデータファイルには影響しません。 既存のファイルについては、データファイルのヘッダーからデータ圧縮およびキー圧縮の情報を取得します。 プログラムやデータベース参照ファイルでの設定は、無視されます。
例
fs /d dbase.ref /f file1.dat /k d001 fs /d dbase.ref /f file2.dat /k d001i7
この例では、Fileshare サーバーが、データファイル file1.dat の作成時にはデータ圧縮を適用し、データファイル file2.dat の作成時にはデータ圧縮およびキー圧縮の両方を適用するように指定します。
Fileshare サーバーは、Micro Focus のファイル ハンドラーでなく、ユーザーが指定したプログラムへ入出力要求を渡すことができます。ただし、そのプログラムは、ファイル ハンドラーが使用する呼び出しインターフェイスに準拠している必要があります。
仮想ファイル ハンドラーインターフェイスを使用するために、Fileshare クライアントの構成を変更する必要はありません。
仮想ファイル ハンドラーを指定するには、データベース参照ファイルで /f
オプションと /ap
(アプリケーションプログラム) オプションを指定します。なお、このデータベース参照ファイルでは、Fileshare サーバーが特定のデータファイルに対する入出力要求を渡すプログラムを指定します。
例:
fs /d dbase.ref /f user1.dat /ap myprog
この例では、Fileshare サーバーが、データファイル user1.dat への入出力要求をすべてプログラム myprog に渡すように指定するエントリをデータベース参照ファイル dbase.ref に対して追加します。
Windows
ユーザープログラムは .obj 形式である必要があります。また、ユーザープログラムは、Fileshare のメインモジュールである FS.DLL にリンクする必要があります。詳細については、『Windows での Fileshare サーバーのリンク』の項を参照してください。
UNIX
ユーザープログラムをコンパイルして中間コード、生成コード、または呼び出し可能な共有オブジェクトを作成する必要があります。ユーザープログラムは、Fileshare プロセスから呼び出し可能でなければなりません。
Fileshare サーバーの動作中に、F2 キーを押すと、トレースオプションのオン / オフを切り替えることができます。 トレースオプションがオンに設定されていると、Fileshare サーバーはファイルアクセス要求が発生するたびに、それをコンソールに表示します。 各行に表示される内容は次のとおりです。
注:トレースオプションを使用すると、性能が低下することがあります。 このオプションは、問題調査の診断補助として使用する場合以外は、指定しないでください。
Fileshare サーバーの起動時に /tr f
オプションを指定すると、トレースオプションを有効化できます。 この場合は、トレース状況が画面に表示されるのみでなく、fsscreen.lst ファイルにも書き込まれます。 ただし、トレースオプションが有効化されていると、Fileshare サーバーの性能に重大な影響を与えます。 トレースオプションが解除されている場合は、情報メッセージのみが画面とファイルに出力されます。 この方法は、Fileshare メッセージの記録をディスクに保存して、その保存を永久的なものにするには便利です。
シングルユーザーモードで Fileshare を使用している場合は (『シングルユーザーモード』の項を参照)、表示されたトレース情報は、通常 Fileshare サーバーのコンソール画面に表示される他の出力と一緒に、Fileshare サーバーの現在のディレクトリにある fsscreen.lst ファイルに書き込まれます。
Fileshare マネージャー (fsmgr) を使用すると、Fileshare スーパーバイザモードの機能を自動化できます。Fileshare マネージャーを使用するには、fsmgr を呼び出す COBOL プログラムを作成します。 Fileshare マネージャーを呼び出すと、Fileshare サーバーに対し、次の処理を実行するように命令します。
注:この命令の実行時には、Fileshare サーバーに接続しているすべての Fileshare クライアントがログオフされ、クライアントが開いたすべてのファイルが閉じられます。
Fileshare マネージャー (fsmgr) プログラムは、次のように COBOL プログラムから呼び出されます。
call "fsmgr" using parameter-block
parameter-block
次のパラメーターを含む集団項目 function-code
pic xx comp-x. error-status
pic xx comp-x. fileshare-name
pic x(16). supervisor-passwd
pic x(20). reserved
pic x(24).
function-code |
必要な Fileshare マネージャープログラムの関数
1 = 回復ログ ファイルをバックアップする |
fileshare-name |
操作の対象となる Fileshare サーバーの名前 (Fileshare の起動時に使用した名前) |
supervisor-passwd |
スーパバイザパスワード。 詳細については、『セキュリティ』の章にある『スーパーバイザモード』の項を参照してください。 |
reserved |
将来のために予約されています。 バイナリの 0 を格納する必要があります。 |
error-status |
呼び出し結果 (成功、失敗など) が格納されます。 error-status の値は、次のとおりです。 |
値 |
説明 |
---|---|
0 | 関数が正常に完了しました。 |
1 | 通信エラー。 Fileshare クライアントが、指定された通信プロトコルによりネットワークを通じて Fileshare サーバー fileshare-name に接続できなかったことを示します。 初期接続が確立した後で、関数の実行中にネットワークエラーが発生した場合にも、このエラーが返されます。
fileshare-name が正しく指定され、Fileshare ハンドラーリダイレクタモジュール (FHRedir) が正しい通信プロトコルを使用するように構成されているかを確認してください。 |
2 |
初期接続中のファイルエラー。
Fileshare へ接続するために、Fileshare マネージャーは fsmgr.ctl と呼ばれるファイルを開きます。 このファイルは存在せず、また、Fileshare マネージャーが実際にこのファイルを作成することはありません。 このファイルが存在し、ファイルを閉じるときにエラーが発生すると、この状態が返されます。 |
3 | supervisor-password に指定されたパスワードが無効であることを示します。
Fileshare がパスワードファイルを使用して実行されていること、およびsupervisor-password の値がパスワードファイルのスーパーバイザパスワードエントリと一致することを確認してください。 Fileshare パスワードでは、大文字と小文字が区別されるので注意してください。 詳細については、『セキュリティ』の章にある『スーパーバイザモード』の項を参照してください。 |
4 | function-code に無効な値が指定されたことを示します。function-code の値は、1~5 の範囲でなければなりません。 |
5 | Fileshare ログ ファイルがないことを示します。
回復ログ ファイルがないまま実行されている Fileshare サーバーで、ログ ファイルのバックアップを試行したことを示します。 |
6 | 関数 2、または 3 を完了できなかったことを示します。
すべての Fileshare クライアントをログオフしようとしている間は (関数 3)、ログオフ処理が完了する前に、他のクライアントがログオンする可能性があります。 たとえば、4 つのクライアントがログオンしている場合には、Fileshare マネージャーは「 |
10 | その他のエラー。 |
他の Fileshare クライアントアプリケーションと同様に、Fileshare マネージャーは、Fileshare ハンドラーリダイレクタモジュール (FHRedir) を使用して Fileshare サーバーにアクセスします。また、正しい通信プロトコルを使用するために Fileshare マネージャーを構成する必要があります。 詳細については、『構成』の章にある『クライアントの構成』の項を参照してください。
ユーザープログラムで Fileshare マネージャーを呼び出す場合は、作成した実行可能ファイルがあれば、Fileshare マネージャーオブジェクトファイル (Windows では fsmgr.obj、UNIX では fsmgr.o) をリンクすることが必要です。
Fileshare は、この COBOL システムで使用できるバイトストリーム入出力ルーチンをサポートしています。 ほとんどのルーチンでは、対応する COBOL システム呼び出しと同じパラメーターを使用し、同じ効果がありますが、Fileshare を介してリモートファイルにアクセスします。 プログラムで変更する必要があるのは、CBL_ のかわりに FS_ が先頭に付くルーチンを呼び出すようにする点のみです。 呼び出しインターフェイスが、対応する CBL_ ルーチンと完全に同じではないルーチンは、FS_LOCATE_FILE のみです。
Fileshare は、次に示すバイトストリーム入出力ルーチンをサポートしています。
これらのルーチンを使用すると、ローカルファイルのみではなく、リモートの Fileshare サーバーにあるファイルへもアクセスできます。 ローカルファイルやリモートファイルを定義するには、通常の方法で Fileshare クライアントを構成してください。
注:
FS_LOCATE_FILE の機能は、次の点を除き、CBL_LOCATE_FILE と同じです。
user-file-spec に $$server-name というプレフィックスを指定した場合は、actual-file-spec を使用する OPEN 操作を自動的にリダイレクトするには、actual-file-spec にも同じ $$server-name を格納する必要があります。 デフォルトの設定では、Fileshare は、ユーザープログラムに actual-file-spec のファイル名を返すのみです。 actual-file-spec の $$server-name を返すには、FS_LOCATE_FILE への呼び出しを行う前に、user-mode の MSB を設定してください。
FS_SPLIT_FILENAME と FS_JOIN_FILENAME の機能は、対応する CBL_ ルーチンの機能と同じです。 また、FS_SPLIT_FILENAME と FS_JOIN_FILENAME を使用すると、Fileshare サーバー名を指定するファイルの名前の先頭に $$server-name というプレフィックスを追加して処理できます。 このようなファイル名を処理すると、プレフィックス $$server-name の文字列が pathname パラメーターの一部として含まれます。
Windows NT
この Micro Focus 製品のコマンド プロンプトで次のように入力すると、Fileshare サーバーを Windows NT サービスとして実行するようにインストールできます。
fsservice -i
インストールの完了後に、次のように入力すると、サービスの状態を表示できます。
fsservice -v
さらに、次のように入力すると、NT サービスとしての Fileshare をアンインストールできます。
fsservice -u
Fileshare を NT サービスとしてインストールすると、次に示す手順で Fileshare をバックグラウンドプロセスとして起動できます。
Fileshare サービスは、次の手順で停止できます。
注:
次のように指定すると、Windows NT の起動時に、Fileshare サーバーも自動起動できます。
注:Windows NT の起動時に Fileshare サービスが自動起動するように指定しており、かつ、データファイルのログ処理を有効化している場合は、データベース参照ファイルで Fileshare バックアップディレクトリを指定しておくことをお奨めします。 詳細については、『データベースの完全性』の章にある『データベースの自動バックアップとロールフォワード回復』の項を参照してください。
Fileshare を起動する前に、Fileshare サーバーオプションを指定できるように、Fileshare サーバーの構成ファイルを作成する必要があります。 Fileshare サーバーオプションの詳細については、『構成』の章にあるの『サーバーの構成』の項を参照してください。
Fileshare サービスは、Windows のシステムディレクトリ (たとえば c:\winnt\system32) を現在のディレクトリとして継承するので、このディレクトリに Fileshare サーバーの構成ファイルを格納する必要があります。 Fileshare で別の作業ディレクトリを使用するには、構成ファイルの最初のエントリとして /wd
オプションを記述します。 その結果、Fileshare は、起動時に、作業ディレクトリを指定したディレクトリへ変更し、この作業ディレクトリに対する相対パスのみをもつファイル (たとえば、データベース参照ファイル) にアクセスします。
Fileshare は、バックグラウンドプロセスとして動作するため、生成したすべてのメッセージは、現在の作業ディレクトリの fsscreen.lst ファイルに書き込まれます。 このファイルの内容を確認して、問題を診断してください。
構成ファイルの例
次に Fileshare サーバーの構成ファイル例を示します。
/wd d:\fsdir /s server1 /d dbase.ref
最初の行では、Fileshare サーバーの現在のディレクトリとして、ドライブ d: のディレクトリ fsdir を指定します。 完全パス名をもたないデータファイルは、すべてこのディレクトリに対する相対パスにより検索されます。 2 行目では、Fileshare サーバーが server1
としてネットワークに名前を登録することを指定します。3 行目では、Fileshare でデータベース参照ファイル dbase.ref を使用することを指定します。 この名前は、完全パスではないため、Fileshare の現在のディレクトリである d:\fsdir で検索されます。
Windows
仮想ファイル ハンドラーインターフェイスや Windows 上のユーザー独自のセキュリティモジュールを使用する場合は、fs.dll ファイルを再作成する必要があります。 次のようなコマンド ラインを入力すると、このファイルを再作成できます。
CBLLINK -ofs.dll -d -RE,2.0 -Mfscmd fscmd.obj fsserver.obj fhxscomp.obj fsseclog.obj fsinstpw.obj fsinst.obj fsrcvr.obj fspthnam.obj fssecopn.obj fsossec.obj cbldc001.obj _codeset.obj mfini.obj
必要に応じてオブジェクトモジュールを追加するか、セキュリティモジュールを置き換えて、目的に合うように上記のコマンド ラインを変更してください。
また、Fileshare を Windows NT サービスとして実行している場合には、次のようなコマンドを使用して、fsservice.exe モジュールを再リンクする必要があります。
cbllink -ofsservice.exe -Rm,+2.0 fssrvice.obj CblNTService_Handler.obj CblNTService_SetStatus.obj CblNTService_ServiceRoutine.obj servserv.obj fscmd.obj fsserver.obj fhxscomp.obj fsseclog.obj fsinstpw.obj fsinst.obj fsrcvr.obj fspthnam.obj fssecopn.obj fsossec.obj cbldc001.obj _codeset.obj mfini.obj
さらに、古いバージョンの fsservice をアンインストールし、新しいバージョンをインストールします。
Fileshare を使用すると、ネットワーク全体で送信される COBOL の入出力要求数を減らすことができます。特に、次のようなある種類のデータファイルアクセスに対しては大きな効果があります。 Fileshare は、次の点でリモートデータに対するアクセス速度を改善できます。
指標付きのデータファイルへ要求を 1 つ送信する場合は、ヘッダーの読み込みや完全性マーカーの更新のような物理的なデータファイルに対して多くのアクセスを行うことになります。 複雑なキー構造を使用する場合も、ファイルの指標構造を更新するために必要なアクセス回数が増えます。通常の COBOL ファイル処理システムでは、これらのアクセスがそれぞれ要求を生成し、ネットワーク全体に送信します。一方、Fileshare を使用すると、ネットワーク全体に送信される要求は 1 つのみです。 データファイル構造が単純であるほど (相対ファイルおよび順編成ファイル)、処理上のオーバヘッドが少なくなります。
指標付きのデータファイルを処理すると、Fileshare による速度の向上が、よりはっきり実感できます。
WRITE 操作、DELETE 操作 または REWRITE 操作を処理するために必要なデータファイルへのアクセス回数は、一般的に、READ 操作や START 操作を処理するときに必要な回数よりも多くなります。通常の COBOL ファイル処理システムでは、これらのアクセスがそれぞれ要求を生成し、ネットワーク全体に送信します。一方、Fileshare を使用すると、ネットワーク全体に送信される要求は 1 つのみです。
WRITE 操作、DELETE 操作、または REWRITE 操作を実行すると、Fileshare による速度の向上が、よりはっきり実感できます。
プログラムがデータファイルを排他的に開いた場合は、通常の COBOL ファイル処理システムでは、キャッシュを使用します。 これにより、ファイルが入出力操作ごとに更新されているかどうかを確認する必要がなくなります。 そのため、ネットワーク全体に送信される要求の数は、データファイルが排他的に開かれる場合には著しく少なくなります。
Fileshare では、ファイルが排他的に開かれる場合よりも、多数のユーザーがデータファイルに同時アクセスを行う場合に、性能の向上が見られます。 これは、Fileshare サーバーがアクセスとキャッシュを制御するので、通常の COBOL ファイル処理システムを介して共有データファイルにアクセスするときに必要な追加要求を送信しなくてもよいためです。
その結果、速度の向上の度合いがアプリケーションによって非常に異なります。同じデータファイルへ同時にアクセスする Fileshare クライアントが増えるほど、Fileshare による速度の向上がはっきり実感できます。
UNIX
UNIX では、Fileshare サーバーと Fileshare クライアントを同じマシンで実行する場合は、CCINAMPU CCI プロトコルを使用することをお奨めします。このような場合には、CCITCP プロトコルよりも処理が向上します。
複数のリモート COBOL アプリケーションがネットワークを通じて同時に共有データファイルにアクセスする場合には、Fileshare を使用することにより性能が向上しますが、COBOL データがアプリケーションと同じマシンに存在する場合には性能は向上しません。 このような構成では、標準呼び出し可能ファイル ハンドラーではなく Fileshare を使用することによって、性能上のオーバヘッドが発生します。
UNIX マシンはリモートデータサーバーとして使用できますが、通常は、データの存在するマシンでアプリケーションを実行することはありません。 たとえば、ネットワークを介して、複数のユーザーがあるマシンにログインし、同じデータを共有する複数のアプリケーションをそのマシンで実行するとします。 このような構成の場合は、Fileshare 使用のために性能上のオーバヘッドが発生します。そのため、標準呼び出し可能ファイル ハンドラーを使用した場合よりも処理が遅くなります。
デフォルトで Fileshare がサポートする最大のファイルサイズは 4 GB です。 オペレーティング システムが大容量ファイルをサポートする場合は、Fileshare で使用するファイル ハンドラーで、デフォルトの最大容量である 4 GB を超える順、相対、および IDXFORMAT(8) 索引ファイルを使用できるように構成できます。
以前のリリースでは、このファイルサイズの制限を解決する暫定手段として、ファイルのストライプ化が導入されていました。 ファイルのストライプ化では、単一データファイルをディスク上の複数の物理ファイル (ストライプ) に格納するように指定できます。
後述するように、Fileshare でのストライプ化の指定が複雑なため、大容量ファイルはストライプ化しないで、ファイル ハンドラーで標準の大容量ファイルサポートを使用するように構成することをお奨めします。
Net Express を使用する場合は、マニュアル『ファイル処理』の『ファイル ハンドラーの構成』の章を参照してください。
Fileshare で大容量ファイルサポートを構成する場合は、次の点を考慮してください。
extfh.cfg ファイルは、Fileshare サーバーが格納されているディレクトリに格納する必要があります。EXTFH 環境変数で extfh.cfg ファイルを示すように設定した場合は、Fileshare サーバーのセッションでこの環境変数を設定する必要があります。
extfh.cfg ファイルに次の行を追加してください。
[XFH-DEFAULT]
Filemaxsize=8
オペレーティング システムが大容量ファイルをサポートしない場合に Fileshare でファイルのストライプ化を構成する方法を次に説明します。
extfh.cfg 構成ファイルでは基本ファイルの完全パス名を使用する必要があります。 この完全パス名は、F2 キーを押してトレースをオンにしたときに表示されます。
例
UNIX
[/u/username/file.dat]
Striping=on
注:Fileshare でアクセスするファイルに対してのみ、この設定を行います。 ファイル ハンドラーを使用可能にして extfh.cfg 内の設定を検索するには、ファイル名は、入出力要求で指定したファイル名と完全に一致する必要があります (Fileshare で完全パス名を使用する場合)。
バックスラッシュ文字は、extfh.cfg ファイルではエスケープ文字として扱われます。 このため、Windows では、次のようにパス名で 1 つのバックスラッシュ文字に対して 2 つのバックスラッシュ文字を指定する必要があります。
Windows
[d:\\fsrvr\\file.dat]
Striping=on
代替ファイル名 (ファイル名マッピングを使用してデータベース参照ファイル内で指定) でファイルのストライプ化を指定できます。 この場合には、完全パス名で指定する必要はありません。たとえば、データベース参照ファイルに次の行が記述されているとします。
/f file1.dat /af file2.dat
この場合は、extfh.cfg ファイルで次のように指定できます。
[file2.dat]
Striping=on
StripeNameType=1 (デフォルトでは StripeNameType=0) の指定は、基本ファイル名に拡張子がない場合のみに Fileshare で有効になります。 拡張子をもつファイル名に対して StripeNameType=1 を指定した場合、ファイルは作成されますが、ストライプ化されません。
ストライプ化を使用する場合は、ロールフォワード回復のログ処理が複雑になります。これは、管理者が最新のバックアップでファイルの正しいバージョンが保存され、回復ユーティリティの実行時にファイルの正しいバージョンが復元されることを保証する必要があるためです。 ファイルのストライプ化を維持する場合には、この処理がさらに複雑になります。
データベースの自動バックアップ / 回復機能では、バックアップと復元時に、ストライプ構成で認識しない低レベル入出力ルーチンを使用するため、ストライプ化されたファイルを正しく処理できません。
ファイル ハンドラーが extfh.cfg ファイル内のファイル名タグを検索できるように、ファイル ハンドラーに渡すファイル名は完全に一致する必要があります。
一般に、Fileshare は完全パス名のみを渡します。 その結果、Fileshare で使用するために extfh.cfg ファイル内で完全パス名を指定し、Fileshare が管理していないファイルにアクセスするには、extfh.cfg ファイル内のファイル名タグを、アプリケーションで渡されるファイル名に完全に一致するように変更する必要があります。