開発タスクに応じたイメージの作成

開発作業に役立つ Docker を実装する場合は、開発プロセスのさまざまな部分を遂行するために、さまざまなイメージを作成して実行する必要があります。さまざまなイメージを用意することで、常に作業に適したツールを使用し、実行するタスクに合わせて最適化されたイメージを使用できるようになります。

たとえば、COBOL アプリケーションをビルドする場合は、そのためのサポートを提供するイメージを使用する必要がありますが、アプリケーションを実行するだけの場合は、使用するイメージにビルド機能が含まれている必要はありません。

目的に応じたイメージを使用すること、また他のイメージに基づいてイメージを作成することは、Docker コミュニティ全体で広く利用されている手法です。

たとえば、Windows では、Visual COBOL は 2 つのベース イメージとして提供されます。2 つのうちの小さいイメージは、.NET 開発用のビルド ツールは備えていないものの、ネイティブ COBOL 開発用の関連機能をすべて含む microsoft/dotnet-framework イメージに基づいています。もう 1 つの大きなイメージは、microsoft/dotnet-framework-build イメージ (SDK) によって提供される追加のビルド ツールを備えています。このイメージには、NuGet、.NET Framework プロファイル、および File Tracker が含まれています。

ビルド ツールを含むすべてのイメージは、リポジトリ名に -build というサフィックスが付いているため、ビルドおよびテストに最適なイメージであることが一目でわかります。

Micro Focus では、Visual COBOL に付属する Docker デモンストレーションで同様の命名方式およびイメージ階層化方式を使用しており、同じ規則を採用することを推奨しています。

次に例を示します。

• 前述のとおり、Microsoft によって microsoft/dotnet-framework イメージおよび microsoft/dotnet-framework-build イメージが提供されており、これらのイメージのいずれかに基づいて独自の Visual COBOL イメージを作成できます。

  Visual COBOL 用として microsoft/dotnet-framework に基づくベース イメージと microsoft/dotnet-framework-build に基づくベース イメージをそれぞれ作成し、作業対象がネイティブ COBOL アプリケーションであるかマネージ COBOL アプリケーションであるかに応じて、2 つのベース イメージを使い分けることができます。

  マネージ COBOL 機能を利用する必要があるかどうかにかかわらず、-build バージョンのベース イメージを使用することもできますが、その場合、ネイティブ COBOL アプリケーションを扱ううえで不要なファイルが含まれることになります。

• Visual COBOL のベース イメージを作成する場合は、そのイメージを使用するプラットフォームのビット体系に固有のバージョンを作成する必要があります。これを実現するために、Docker デモンストレーションでは次のことを行います。
  1. 汎用ベース イメージを作成します。これは、特定のビット体系に固有のイメージではなく、プラットフォーム固有の他のイメージを作成するためにのみ使用されます。
  2. 汎用ベース イメージに基づいて、32 ビット プラットフォームに固有のイメージと 64 ビット プラットフォームに固有のイメージを作成します。

     ビット体系はイメージのタグで示されます。たとえば、汎用ベース イメージ microfocus/vcbuildtools:win_4.0 では、そのプラットフォーム固有のイメージは microfocus/vcbuildtools:win_4.0_x86 と microfocus/vcbuildtools:win_4.0_x64 という名前になります。