MOVE 文
すべての書き方に関する構文規則
- identifier-1 および literal は送信側領域を表し、identifier-2 は受信側領域を表す。
- 指標名または指標データ項目は、MOVE 文の作用対象として指定できない。
送信側項目または受信側項目がポインター データ項目または ADDRESS OF の作用対象である場合、MOVE 文の他の作用対象もポインター データ項目または ADDRESS OF の作用対象とするか、送信側項目の場合は NULL とする。- 送信側項目または受信側項目が、オブジェクト参照、プログラム ポインター、エントリ ポインター、モニター ポインター、ミューテックス ポインター、セマフォ ポインター、またはスレッド ポインターである場合、MOVE 文の他のすべての作用対象も同じ型とするか、送信側項目の場合は NULL とする。
送信側項目または受信側項目のどちらかが 2 バイト文字 (USAGE DISPLAY-1) 項目である場合には、両方とも 2 バイト文字項目とする。表意定数の SPACE は、2 バイト文字の送信側として使用できる。
書き方 1 の構文規則
書き方 1 では、すべての一意名で英数字の集団項目、各国文字の集団項目
、基本項目を参照できる。送信側領域のデータは、各 identifier-2 が参照するデータ項目に、指定された順番で転記される。
、UTF-81 の集団項目- identifier-1 には数値の関数一意名を指定できる。
- identifier-1 が USAGE BINARY-CHAR、USAGE BINARY-SHORT、USAGE BINARY-LONG、または USAGE BINARY-DOUBLE で記述されたデータ項目である場合、identifier-2 は数値項目または数字編集項目とする。それ以外の場合は、以下の表 1「MOVE 文のデータ項類」に記載の、転記の有効性を参照。
すべての書き方に関する一般規則
- identifier-1 が数値の関数一意名である場合、identifier-2 は数値項目または数字編集項目のどちらかとする。
- literal または identifier-1 で指定したデータは、各 identifier-2 が参照するデータ項目に、指定した順番で転記される。identifier-2 を参照する規則は、他の受信側領域にも適用される。identifier-2 が添え字付けまたは指標付けされている場合、データを各データ項目に転記する直前に添え字または指標が評価される。
identifier-1 が部分参照されている、添え字付けされている、または関数一意名である場合、その部分参照、添え字、または関数一意名の評価は、データが受信側の最初の作用対象に転記される直前に一度だけ行われる。 次の文の結果について、 MOVE a(b) TO b, c(b)
は以下に等しい。 MOVE a(b) TO temp MOVE temp TO b MOVE temp TO c(b)
ここで、「temp」は COBOL システムが提供する中間結果項目である。 - 送信側項目および受信側項目がともに基本項目である MOVE は、基本項目転記である。すべての基本項目は、数値、英字、英数字、数字編集、英数字編集
のいずれかの項類に属する。 、UTF-8これらの項類は PICTURE 句で記述する。数値定数は数値の項類に属し、文字定数は英数字の項類に属する。表意定数 ZERO は、数値または数字編集項目に転記すると、数値の項類に属する。表意定数 ZERO は、他のすべてのケースでは英数字の項類に属する。表意定数 SPACE は、英字の項類に属する。その他の表意定数は、すべて英数字の項類に属する。
これらの項類間での基本項目の転記については、以下の規則が適用される。
- 表意定数 SPACE、英数字編集データ項目、または英字データ項目は、数値または数字編集のデータ項目に転記できない。
- 数字編集データ項目は、数値または数字編集データ項目に転記できない。 現在、この制限は廃止されている。
- 数値定数、表意定数 ZERO、数値データ項目、数字編集データ項目は、英字データ項目に転記できない。
- 整数でない数値定数または整数でない数値データ項目は、英数字または英数字編集のデータ項目に転記できない。
identifier-2 がブール データ項目である場合、受け取ることができるのは、ブール文字が関連付けられた表意定数のみである。 - 英字、英数字編集、数値、または各国文字のデータ項目は、ブール データ項目に転記できない。
- ブール データ項目は、各国文字データ項目に転記できない。
- UTF-8 以外の項目を UTF-8 項目に転記する場合、送信側の文字は UTF-8 に変換される。この変換は、埋め込みと切り詰めを引き起こさない十分な長さを持つ項類が UTF-8 の一時データ項目に転記された場合と同様である。変換後の項類が UTF-8 の項目が送信側のデータ項目として扱われる。
- 字類 UTF-8 の項目を字類 UTF-8 の別の項目に送信する場合、転記時に変換は行われない。
- UTF-8 の転記時に発生する可能性がある桁寄せと埋め込みまたは切り詰めについて、グラフィック文字を形成する複数の符号化方式単位が切り詰めによって分けられないようにすることはプログラマーの責任である。
- 上記以外の基本項目の転記は文法的に正しく、下記の一般規則 5 に示す規則に従って実行される。
- 文法的に正しい基本項目の転記の実行中に、必要に応じて、ある形式の内部表現から別の形式の内部表現にデータが変換される。これは、受信側項目に対して指定された編集処理とあわせて行われる。
- 受信側項目が英数字編集または英数字の項目である場合、「COBOL 言語の概念」の章の「標準桁寄せ規則」トピックに記載のとおり、桁寄せおよび必要な空白の穴埋めが行われる。送信側の項目のサイズが受信側の項目のサイズよりも大きい場合は、受信側の項目が満たされた後で、右側の超過文字が切り捨てられる。送信側項目が符号付き数値として記述されている場合、演算符号は転記されない。演算符号が別個の文字位置を占める場合 (「SIGN 句」トピックを参照)、その演算符号は転記されず、送信側項目は実際のサイズ (標準データ形式の文字でのサイズ) よりも 1 文字小さいものと見なされる。
- 受信側項目が数値または数字編集の項目である場合、「COBOL 言語の概念」の章の「標準桁寄せ規則」セクションに記載のとおり、小数点による桁寄せおよび必要なゼロの穴埋めが行われる。ただし、編集要件によりゼロが置き換えられている場合は除く。 送信側の作用対象が数字編集である場合、その作用対象の編集されていない数値 (符号付きの場合がある) を取得するために、逆編集が暗黙指定される。その後、編集されていない数値が受信側項目に転記される。逆編集の効果は、DE-EDIT コンパイラ指令の設定に依存する。
受信側項目が符号付き数値である場合、送信側の符号は受信側項目に転記される。「SIGN 句」のトピックを参照。必要に応じて、符号の表現形式の変換が行われる。送信側項目に符号が付いていない場合、受信側項目用に正符号が生成される。
受信側項目が符号なしの数値である場合、送信側項目の絶対値が受信側項目に転記され、受信側項目用の符号は生成されない。
送信側項目が英数字として記述されたデータ項目である場合、送信側項目が符号なしの整数として記述された場合と同様にデータが転記される。
受信側項目が数値または数字編集であり、送信側項目が英数字である際に、送信側項目の内容が整数でない場合、転記結果は不定となる。送信側項目が英数字の定数であり、その内容が整数でない場合は、エラーが報告されて、ゼロがその対象に転記される。「手続き部」の章の「矛盾するデータ」トピックを参照。
送信側項目が数値データ項目である場合、転記し戻すと数字編集項目に同じ値が現れるように転記処理が行われる (ただし、切り捨てが発生した場合は除く)。データ項目内のデータが、編集された PICTURE 文字列に準拠しない場合、ゼロがその対象に転記される。 - 受信側項目が英字である場合、「COBOL 言語の概念」の章の「標準桁寄せ規則」トピックに記載のとおり、桁寄せおよび必要な空白の穴埋めが行われる。送信側の項目のサイズが受信側の項目のサイズよりも大きい場合は、受信側の項目が満たされた後で、右側の超過文字が切り捨てられる。
- 受信側項目が浮動小数点数である場合、最初に送信側項目が内部浮動小数点数に変換された後に転記される。外部浮動小数点数項目へ、または外部浮動小数点数項目からデータを転記する場合、最初に内部浮動小数点数値のデータ変換が行われる。
- 受信側項目が NCHAR でない 2 バイト文字である場合、送信側項目も 2 バイト文字または各国文字とする。変換は行われない。送信側項目と受信側項目のサイズが異なる場合、データ項目の右側が切り捨てられるか 2 バイト文字の空白で穴埋めされる。
- 基本項目転記以外の転記は、英数字同士の基本項目転記とまったく同様に扱われる。ただし、データの内部表現形式は変換されない。このような転記では、送信側または受信側の領域に含まれる個々の基本項目または集団項目は考慮されず、受信側領域にデータが格納される。ただし、OCCURS 句の一般規則の事項は例外である。
- 下記の表 1 で、各種の MOVE 文の適合性を概略する。表内に示す一般規則の参照番号は、該当の転記を禁止する規則、または適合する転記動作を示す。
- 受信側項目がブール値である場合、送信側項目のブール値は、必要に応じてデータ表現の変換とあわせて転記され、「COBOL 言語の概念」セクションの「標準桁寄せ規則」トピックに記載のとおり、必要な桁寄せおよびゼロの穴埋めが行われる。送信側項目がブール値でない場合、送信側項目と同じ用途および文字数のブール データ項目の場合と同様に処理される。送信側項目の内容がブール クラス条件で偽の値になると、エラーが報告される (「手続き部」セクションの「矛盾するデータ」トピックを参照)。
- 下記の表に、許容される転記の概略と本トピック内の詳細な説明への参照を示す。
送信側項目の項類 受信側データ項目の項類 (関連する規則番号を各列に記載) 英字 英数字編集/英数字 整数/整数以外 数字編集の外部/内部浮動小数点数 各国文字 NCHAR 以外の 2 バイト文字 NCHAR 2 バイト文字 ブール UTF-8 英字 適合/4c 適合/4a 非適合/3a 非適合/3a 適合 非適合/4e 適合 非適合/3f 適合 英数字 適合/4c 適合/4a 適合/4b2 適合/4b 適合 非適合/4e 適合 適合/3e 適合 英数字編集 適合/4c 適合/4a 非適合/3a 非適合/3a 適合 非適合/4e 適合 非適合/3f 適合 整数 非適合/3c 適合/4a 適合/4b 適合/4b 適合 非適合/4e 適合 非適合/3f 非適合 整数以外 非適合/3c 非適合/3c 適合/4b 適合/4b 非適合 非適合/4e 非適合 非適合/3f 非適合 数字編集 非適合/3c 適合/4a 適合/4b 適合/4b 適合 非適合/4e 適合 非適合/3f 適合 各国文字 非適合 非適合 適合 適合 適合 適合 適合 非適合 適合 NCHAR 以外の 2 バイト文字 非適合/4e 非適合/4e 非適合/4e 非適合/4e 適合 適合/4e 適合 非適合/3f 非適合 NCHAR 2 バイト文字 適合 適合 非適合 非適合 適合 適合/4e 適合 非適合 非適合 ブール 非適合/3c 適合/4a 非適合/3b 非適合/3b 非適合 非適合/3g 非適合 適合/4f 非適合 UTF-8 非適合 非適合 非適合 非適合 適合 非適合 非適合 非適合 適合 NCHAR 2 バイト文字のサポートの詳細については、「2 バイト文字サポートの Micro Focus 拡張」を参照し、NCHAR 以外の 2 バイト文字のサポートの詳細については、「2 バイト文字集合のサポート」を参照。