Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを含むベース イメージの作成

このトピックでは、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのベース イメージを作成するために Dockerfile で実行する必要がある手順について説明します。

Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツール ベース イメージを作成した後、そのベース イメージに基づいて、COBOL アプリケーションおよび Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを含む追加イメージを作成できます。この追加イメージの作成の詳細については、「Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールで使用するアプリケーションを含むイメージの作成」を参照してください。

注: Enterprise Developer は開発/テスト環境であり、本番環境で使用するためのものではないことに注意してください。COBOL アプリケーションを本番環境のコンテナーで実行する場合は、Enterprise Server を含むコンテナーを使用する必要があります。

Enterprise Developer for Eclipse ユーザーの場合:

Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのベース イメージを作成する前に、次のものが用意されていることを確認する必要があります。

注: Enterprise Developer UNIX コンポーネントを使用している場合は、次のものが用意されていることを確認する必要があります。
  • Enterprise Developer のインストール可能な実行可能ファイル。これは setup_entdev_for_docker_4.0_platform で、Enterprise Developer ベース イメージの Docker デモンストレーションに含まれています。
  • Enterprise Developer の適切なライセンス (.mflic)。
  • イメージに Java のサポートを含める場合は server-jre-8u162-linux-x64.tar.gz ファイル。このファイルは、entdev_dockerfiles_4.0_platform.tar ファイルの EntDev フォルダーにあります。

Enterprise Developer for Eclipse ユーザーの場合:

Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを含むベース イメージを作成するには、Dockerfile で次の手順を実行する必要があります。

  1. 作成元となるベース イメージを指定します。通常、これは microsoft/dotnet-framework または microsoft/dotnet-framework-build になります。

    Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを含むベース イメージを作成する場合は、通常のイメージ (microsoft/dotnet-framework から作成) および「-build」イメージ (microsoft/dotnet-framework-build から作成) の 2 種類のイメージを必要に応じて作成できます。microsoft/dotnet-framework-build イメージには、microsoft/dotnet-framework に含まれていないビルド関連のファイルが含まれています。つまり、microsoft/dotnet-framework から作成されたイメージではアプリケーションを実行できますが、アプリケーションをビルドする場合には、microsoft/dotnet-framework-build を使用する必要があります。

    注: microsoft/dotnet-framework-build には microsoft/dotnet-framework に含まれていない追加ファイルが含まれているため、追加のビルド関連機能が必要な場合は、コンテナーのサイズを最小限に抑えるために、microsoft/dotnet-framework-build のみを使用してください。

    Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを含むベース イメージを作成する Docker デモンストレーションでは、この方法を使用して、microfocus/edbuildtools:win_4.0microfocus/edbuildtools-build:win_4.0 の両方を作成します。

  2. イメージのメタデータを定義します。これにより、docker inspect コマンドの使用時にイメージの重要な詳細を簡単に設定できるようになります。
  3. ファイル名およびフォルダーの場所に関する変数を定義します。
  4. Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツール (edbt_40.exe) のインストール可能な実行可能ファイルをホスト マシンからイメージのファイルシステム内の一時フォルダーにコピーし、そのファイルを実行して、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールをインストールします。

    edbt_40.exe の実行時、次のパラメーターを指定する必要があります。

    /q
    サイレント インストールを実行します。これはユーザー インターフェイスを使用しない非対話型の方法であり、コマンド ラインで別途指定されていない限り、すべての値にデフォルト値が使用されます。
    InstallFolder=installation-location
    Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールをインストールするフォルダーの名前を指定します。このフォルダーは、Docker イメージのファイルシステム上に作成しておく必要があります。
    /l log-file-name
    インストールのログ ファイルを作成します。
    accepteula=yes
    Micro Focus エンドユーザー使用許諾契約書 (EULA) の内容に同意することを示します。
  5. インストール時に生成されたログ ファイルを調べて、インストールが正常に完了したことを確認します。
  6. MFLicenseAdmin.exe ユーティリティを使用して、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのライセンスをインストールします。
  7. Ant および Java のサポートを設定します。
  8. 実行時にコンテナーがリッスンするネットワーク ポートを指定します。
  9. 必要なクリーンアップを実行します。これには、変数のリセットや一時フォルダーの削除などのタスクが含まれます。
  10. Docker の作業ディレクトリを Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのインストール先フォルダーに設定します。
注: 上記の手順を実行する Dockerfile に加えて、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツール ベース イメージのプラットフォーム固有のバージョンを作成する追加の Dockerfile を用意することをお奨めします。追加の Dockerfile は非常に単純で、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツール ベース イメージを基礎として使用して、正しい (32 ビットまたは 64 ビット) 環境が設定されていることを確認するコマンドを実行するだけです。

また、Java のサポートを含まない Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのベース イメージを作成することもできます。この必要がある場合は、Java のサポートを設定するためのステップを実行しないように上記の手順を変更するだけです。

Enterprise Developer UNIX コンポーネント ユーザーの場合:

Enterprise Developer を含むベース イメージを作成するには、Dockerfile で次の手順を実行する必要があります。

  1. 作成元となるベース イメージを指定します。通常、これは、Red Hat Linux を使用しているか SUSE Linux を使用しているかに応じて、rhel7/rhel:latest または suse/sles12sp3 になります。
  2. イメージのメタデータを定義します。これにより、docker inspect コマンドの使用時にイメージの重要な詳細を簡単に設定できるようになります。
  3. ファイル名およびフォルダーの場所に関する変数を定義します。
  4. Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールを正常にインストールするために必要なパッケージをインストールします。
  5. Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツール (setup_entdev_for_docker_4.0_platform) のインストール可能な実行可能ファイルをホスト マシンからイメージのファイルシステム内の一時フォルダーにコピーします。
  6. ユーザーおよびグループを作成します。このユーザーおよびグループの詳細が Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのインストール時に使用されます。
  7. Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのインストール可能な実行可能ファイルに実行権限があることを確認してから、このファイルを実行します。

    setup_entdev_for_docker_4.0_platform の実行時、次のパラメーターを指定する必要があります。

    -IacceptEULA
    Micro Focus エンドユーザー使用許諾契約書 (EULA) の内容に同意することを示します。
    -ESadminID=user-name
    Enterprise Server System Administrator Process User ID を設定します。
  8. 動的リンカーの実行時バインディングを構成して、Enterprise Developer に付属の共有オブジェクトを含めます。

    これにより、LD_LIBRARY_PATH 環境変数を更新する必要がなくなります。

  9. 必要なクリーンアップを実行します。これには、変数のリセットや一時フォルダーの削除などのタスクが含まれます。
  10. Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのライセンスをインストールした後、ライセンス ファイルを削除します。
注: ログインしてシェルまたは Enterprise Developer のコマンドを実行できるイメージを作成することもできます。このオプションは、ベース イメージにアプリケーション ファイルを追加しない場合にベース イメージから Enterprise Developer のコマンドを使用するのに便利です。

すべての Docker デモンストレーションに、このようなログイン イメージを作成するオプションが用意されています。それらのイメージのタグには、「_login」というサフィックスが付きます。_login イメージを作成するように指定する方法については、「Running the Docker Demonstration for the Enterprise Developer Base Image」を参照してください。このようなイメージの作成に必要なコマンドの詳細については、いずれかの Docker デモンストレーションの bld.sh スクリプトを参照してください。

上記の手順は、Windows 用の Enterprise Developer ビルド ツールのベース イメージを作成する Docker デモンストレーションで使用されています。関連するすべてのファイルおよび Dockerfile についての説明など、このデモンストレーションの詳細については、「Enterprise Developer ベース イメージの Docker デモンストレーション」を参照してください。