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第 4 章 32 ビットモードおよび 64 ビットモードでの作業

この章では、32 ビットモードまたは 64 ビットモードで Server Express を使用する方法を説明します。この章は、64 ビット版の Server Express をインストールした場合のみ参照してください。

4.1 はじめに

ご利用の UNIX プラットフォームが 64 ビットアプリケーションをサポートしている場合、該当するプラットフォーム用の Server Express 2.0 をインストールすると、Server Express の開発システムおよびランタイムシステムは、32 ビット版用と 64 ビット版用の両方がインストールされます。これにより、32 ビットシステムおよび 64 ビットシステムの両方で動作するプログラムを記述することができます。また、32 ビットシステム用のアプリケーションを 64 ビット用に移行することもできます。

Server Express の開発ツール、ランタイムライブラリ、および、ランタイムシステムは、32 ビット版用、64 ビット版用とも $COBDIR ディレクトリに置かれています。

Server Express の作業モードを指定することができます。つまり、デフォルトの開発システムが 32 ビットシステムなのか 64 ビットシステムなのかを指定します。どちらの作業モードを指定した場合も、もう一方のモードで動作するツールをいつでも使用することができます。たとえば、Server Express のデフォルトの作業モードを 32 ビットモードに設定した場合でも、64 ビット版用のツールやユーティリティを実行することがでます。

4.2 現在の作業モードの検出

作業モードにはグローバル用とローカル用があります。グローバルの作業モードは、開発システムのユーザすべてに影響します。ローカルの作業モードは、ローカル環境に固有の設定です。

現在の作業モードを検出するには、cobmode コマンドを次のように使用します。

cobmode

現在のローカルの作業モードを検出するには、コマンドを次のように入力します。

cobmode -l

現在のグローバルの作業モードを検出するには、コマンドを次のように入力します。

cobmode -s 

作業モードの決定方法を知るには、cobmode をコマンド 行に入力する際に -v オプションを追加します。次のように入力します。

cobmode -v

作業モードを設定するには、『作業モードの設定』の項を参照してください。

4.3 作業モードの設定

作業モードは Server Express 2.0 をインストールするときに指定できます。詳しくは『ご使用の前に』を参照してください。

作業モードは、次の方法でいつでも設定することができます。

4.3.1 $COBMODE 環境変数

ローカルの作業モードを設定するには、$COBMODE 環境変数を使用します。$COBMODE を使って設定した値は、グローバルの作業モードの設定に優先します。

$COBMODE のフォーマットは次のようになっています。

COBMODE=version

version には、 32 または 64 を指定します。

たとえば、ローカルの作業モードを、64 ビットの開発モードに設定する場合は次のように入力します。

COBMODE=64
export COBMODE

4.3.2 cobmode コマンド

グローバルの作業モードを設定するには cobmode コマンドを使用します。

cobmode コマンドを次の形式で入力すると、グローバルの作業モードが設定できます。

cobmode -s version

version には 32 または 64 を指定します。

たとえば、グローバルの作業モードを 64 ビット版に設定する場合は次のように入力します。

cobmode -s 64

4.4 デフォルトの作業モード

デフォルトの作業モードは、インストールされている製品の部品や、ローカルの作業モード、およびグローバルの作業モードに設定されている値などによって設定されます。

作業モードは次の基準に基づいて決定されます。優先度の高い順に示します。

4.5 必要なツールの起動

Server Express 2.0 のツールとユーティリティは、32 ビット版および 64 ビット版で提供されます。これらのツールやユーティリティは、名前の末尾に 32 または 64 のいずれかを付けます。数字が含まれないバージョンもあります。作業モードを切り換えるために、$PATH、$COBDIR、および $LD_LIBRARY_PATH、$LIBPATH または $SHLIB_PATH を変更する必要はありません。

cob32 -i myprog.cbl
cobrun32 myprog

このように指定すると、プログラム myprog.cbl は 32 ビットの中間コードファイル、 myprog.int にコンパイルされ、実行されます。

cob64 -i myprog.cbl
cobrun64 myprog

このように指定すると、プログラム myprog.cbl は 64 ビットの中間コードファイル myprog.int にコンパイルされ、実行されます。

開発ツール (Cob ユーティリティなど) に数字 (ビット数) を指定しない場合は、現在の作業モードで実行されます。『デフォルトの作業モード』の章を参照してください。

cobrun および Animator に数字を指定しない場合は、コマンド行に指定したアプリケーションが検索され、自動的にそのアプリケーションに適したモードで実行されます。指定したアプリケーションが検出されない場合は、これらのツールは現在の作業モードで実行されます。

cobrun64 myapp.int 

このように指定すると、myapp.int は 64 ビットモードで実行されます。 myapp.int が 32 ビットアプリケーションの場合は、実行エラーになります。

cobrun myapp.int 

このように指定すると myapp.int は 32 ビットモードまたは 64 ビットモードのうち、myapp.int がコンパイルされたモードで実行されます。

anim myapp

このように指定すると myapp を使って Animator が実行されます。作業モードは、32 ビットモードまたは 64 ビットモードのうち、myapp.int がコンパイルされたモードになります。

これらの例は .int ファイル、.gnt ファイル、および、呼び出し可能な共有オブジェクトに当てはまります。 しかし、システムの実行可能ファイルは、32 ビットモードでも、64 ビットモードでも、同じ方法で実行されます。たとえば、プログラム、 myprog.cbl から、32 ビット および 64 ビットシステムの実行ファイルを作成し、実行するには、次のようにします。

cob32 -x myprog.cbl
./myprog
cob64 -x myprog.cbl
./myprog 

4.6 二重モードプログラムの提供

アプリケーションに、プログラムの 32 ビット版と 64 ビット版の両方を含めてユーザに提供する場合は、次のいずれかの方法で行います。

4.7 構成ファイル

構成ファイルを使用して、様々なユーティリティやランタイムシステムを構成することができます。

cobconfig のような、ランタイムシステムに影響を与える構成ファイルには、ご使用の Server Express のバージョンに関係なく、ファイル名の末尾に数字が付けられません。この場合は、設定が 32 ビット版および 64 ビット版により共有されます。


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