ここでは、サーバオブジェクトと実行できる作業について説明します。
サーバは、Directory Server が管理する最上位レベルのオブジェクトです。 サーバには 2 つの種類があります。
いくつかの異なる種類のクライアントが発行したサービス要求に対応するために実行されている COBOL、CICS、および JCL プログラムの実行環境を提供するサーバです。
エンタープライズサーバの詳細は、『はじめに』の章を参照してください。
Enterprise Server にディプロイされたアプリケーションをデバッグする方法については、COBOL 開発システムのマニュアルを参照してください。
Micro Focus 製の CCI (Common Communications Interface; 共通通信インターフェイス) を使用し、CCITCP2 プロセスに登録しないでネーミングサーバとして Directory Server を使用するサービスを提供するサーバです。 CCI サーバを新規作成したり、CCI サーバの状態を変更したりできません。 Directory Server と同一のネットワーク上で CCI サーバが実行され、ネーミングサーバとして Directory Server を使用するように構成されている場合には、CCI サーバが実行時のサーバテーブルに「登録済み」という状態で表示されます。 CCI サーバが停止すると、サーバテーブルから CCI サーバが削除されます。CCI の詳細は、『 CCI の設定』マニュアルを参照してください。
管理者としての作業は、次のとおりです。
サーバの管理には、多数のコマンドが使用できます。これらは、次のとおりです。
casstart | エンタープライズサーバを起動します。 |
casstop | エンタープライズサーバを停止します。 |
cassi |
サービス実行プロセスを開始します。 |
casdump | システムダンプを要求します。 |
casdup | トレースまたはダンプデータセットをフォーマットします。 |
「Micro Focus Server Administration」のホームページのサーバテーブルに、リポジトリに格納されているサーバの情報が表示されます。 すべてのサーバに共通の情報は白色の背景で表示されます。エンタープライズサーバに適用される情報はベージュ色の背景で表示されます。
サーバテーブルは、要約モードまたは展開モードのどちらかで表示されます。 Enterprise Server Administration を初めて起動すると、サーバテーブルは要約モードで表示されます。 サーバテーブルの左上部にあるアイコンをクリックすると、展開モードに切り換わります。要約モードのサーバテーブルについては、『Enterprise Server Administration の概要』の章の『実際の画面』の節にある『「Enterprise Server Administration」のホームページ』の図を参照してください。図 7-1 に、展開モードのサーバテーブルを示します。
図 7-1: 展開モードのサーバテーブル
ホームページのサーバテーブルに表示される次の情報は、両方の種類のサーバに適用されます。
エンタープライズサーバの場合は、各プロセスの通信プロセスの一覧を表示します。
CCI サーバの場合は、クライアントの要求を受信するために使用するネットワークアドレスのみを表示します。
ホームページのサーバテーブルに表示される次の情報は、エンタープライズサーバのみに適用されます。
サーバが実行中の場合にはそのステータスは「開始」となります。 サーバに関連付けられたオブジェクトにチェックマークが付いている場合は、実行可能であることが示されます。
「サーバの追加」ページおよび「サーバの編集」ページの「構成情報」フィールドで、エンタープライズサーバに特有のデータを設定できます。 このフィールドには、次のセクションを設定できます。
[ES-Environment]
このセクションの設定内容は、このエンタープライズサーバで実行されるプログラムの環境に追加されます。 このセクションを使用して、プログラムに必要な任意の環境変数 (DDNAME など) を設定したり、システム変数または COBOL ランタイム変数 (PATH、COBPATH など) を設定することができます。 UNIX では、このセクションでの設定は大文字と小文字を区別します。 環境変数の設定についての詳細は、『構成』の章の『環境変数』の節を参照してください。
「サーバの追加」ページおよび「サーバの編集」ページの「構成情報」フィールドを使用して、そのエンタープライズサーバに属する通信プロセスのパラメータを設定することもできます。 サーバオブジェクトの通信プロセス設定は、そのエンタープライズサーバのすべての通信プロセスに適用されます。 1 つの通信プロセスだけにパラメータを設定するには、「通信プロセスの追加」ページまたは「通信プロセスの編集」ページの「構成情報」フィールドを使用します。 入力可能な文字については、『通信プロセスとサービスリスナー』の章の『構成情報』の節を参照してください。
エンタープライズサーバステータスは、次のどれかです。
停止 | サーバは現在実行されていません。 |
停止中 | サーバの終了処理が現在実行中です。 通常、これは一時的なステータスで、すぐに「停止」のステータスに切り替わります。 |
開始 | サーバは現在実行中で、クライアント要求とサーバ要求に応答できます。 少なくとも、1 つの通信プロセスが開始されています。 |
開始中 | サーバの開始処理が現在実行中です。 通常、これは一時的なステータスで、すぐに「開始」のステータスに切り替わります。 |
応答なし | サーバの前回のステータスは「開始」でしたが、サーバモニタはその後サーバにアクセスできません。 ネットワークの接続エラーが発生したか、またはステータスが「停止」とマーク付けされる前にサーバが異常終了した可能性があります。
ネットワーク通信が復元され、サーバが実行中でサーバモニタが実行されている場合は、次回サーバモニタがサーバがアクティブな状態にあるかどうかを確認する際にサーバステータスは「開始」にマーク付けされます。 サーバで回復不能な通信エラーが発生し、サーバプロセスがアクティブな状態の場合は、「サーバの詳細」ページで [サーバー停止] をクリックしてサーバをシャットダウンできます。 サーバで回復不可能な通信エラーが発生することがあります。つまり、通信プロセスがすべて非アクティブになったり、応答しなくなるようなエラーです。 このような場合、サーバプロセスはシャットダウンします。 「サーバの詳細」ページで「サーバ開始」をクリックして、サーバを開始できます。 |
無効 | どの状態にも該当しないエラーが発生しました。 |
CCI サーバステータスは常に「登録済み」です。 この状態は、CCI サーバの起動が Directory Server に通知されたことを示します。 CCI サーバが停止すると、登録が解除されてサーバのリストから削除されます。
起動スクリプトと停止スクリプトを用意して、エンタープライズサーバの起動および停止の前後に行う動作を指定することができます。 起動スクリプトには casstart コマンド、停止スクリプトには casstop コマンドをそれぞれ記述する必要があります。 これらのコマンドを記述しない場合、サーバは起動も停止もされません。 コマンドの詳細は、ヘルプトピックの『 casstart 』および 『 casstop 』を参照してください。
Directory Server は、スクリプトの環境の環境変数をいくつか設定します。設定した環境変数はスクリプト内で使用できます。
ES_HOME | サーバの作業ディレクトリ (ログファイルの位置)。この値は、「サーバの追加」ページ (または「サーバの編集」ページ) > 「プロパティ」ページ > 「全般」ページの「システムディレクトリ」フィールドから取得します。 |
ES_SERVER | サーバ名 (casstart または casstop で -r スイッチが指定されていない場合、Enterprise Server は、この値をサーバ名として使用することに注意してください)。 |
MFDS_PORT | Directory Server が受信に使用するポート (通常は 86)。 |
たとえば、次の起動スクリプトを使用して、サーバの環境変数を設定します。
set MY_VARIABLE=value
rem start the enterprise server
echo Enterprise Server %ES_SERVER% is starting
casstart
ここで、value は環境変数の値です。
サーバが完全に停止した後にのみ実行するコマンドが停止スクリプトに含まれている場合は、casstop コマンドを実行した後、そのサーバの cascd プロセスが終了するまでスクリプトを一時停止させます。 これは、casstop コマンドが、サーバが実際にシャットダウンを完了する前に戻ってしまうためです。 Windows でこれを行うには、サードパーティのツールが必要です。
次に、ログファイルをバックアップするか、またはサーバがシャットダウンを完了した後にのみ開始する他のタスクを実行できます。
サーバの [開始] または [停止] ボタンをクリックすると、指定したコマンドにより Windows バッチファイルが生成され、このバッチファイルが次に実行されます。
また、「サーバの無応答時」スクリプトも作成できます。 このスクリプトは、サーバで実行中の通信プロセスがすべて「無応答」状態になったときに実行されます。 たとえば、サーバがハングまたはクラッシュした場合、または、Directory Server とエンタープライズサーバ (これらが別々のシステムで実行されている場合) の間のネットワーク接続に問題がある場合などです。 このスクリプトを使用して、システム管理者に問題を通知することができます。
起動、停止、および「サーバの無応答時」スクリプトは、「サーバの編集」ページ > 「プロパティ」ページ >「高度な設定」ページで指定できます。
Directory Server を停止する前、またはマシンをシャットダウンする前に、サーバをすべて停止する必要があります。 Enterprise Server Administration を使用して Directory Server を停止する際には、先に全サーバを停止するというオプションがあります。
システムの再起動時に、「構成オプション」ページの「起動時にサーバを復元」がチェックされていない場合、Directory Server は、シャットダウンする前に停止されていなかったサーバ (Directory Server のリポジトリでまだ「開始」にマーク付けされている) を自動的に起動しません。 「構成オプション」ページで [サーバモニタ] が有効になっている場合は、サーバがまだアクティブな状態にあるかをチェックし、ホームページにある Enterprise Server Administration サーバテーブルで「応答なし」にマーク付けします。 この場合、各サーバは、手動で再起動する必要があります。 各サーバの [詳細] をクリックし、次に [サーバの開始] をクリックしてサーバを再起動します。
[起動時にサーバを復元] が選択されている場合、Directory Server を再起動すると、以前に「開始」にマーク付けされていたサーバのリストを読み取り、サーバが実行中かチェックします。サーバが実行中でない場合は、サーバを再起動します。
実行できる作業は、ユーザのアクセス権レベルのみでなく、サーバの種類によっても異なります。 サーバが起動されると、Add/Delete またはそれ以上のアクセス権をもつ場合はモニタ機能が利用できます。
Modify またはそれ以上のアクセス権をもつ場合は、次の作業ができます。
Add/Delete またはそれ以上のアクセス権をもつ場合は、次の作業もできます。
ステータスが「開始」のサーバではいずれも、サーバの監視および制御を行うための、追加機能セットが使用できます。 これらの追加機能を総称して Enterprise Server Monitor and Control と呼びます。 詳細は、『 ESMAC 使用によるサーバの管理 』の章を参照してください。
Add/Delete またはそれ以上のアクセス権をもつ場合は、CCI サーバを削除できます。 CCI サーバが異常終了し、Directory Server から CCI サーバが登録解除されない場合にのみ、CCI サーバを削除します。
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