Visual COBOL は、COBOL と Java を統合できるさまざまな方法を提供します。一部の方法では、既存のアプリケーションの変更を必要とする場合があります。また、どの方法がより適切かは、アプリケーションの種類によって異なる場合があります。本トピックでは、それぞれの方法を概説し、方法の選択に影響する各種要素についてまとめます。
Enterprise Server は、COBOL アプリケーション用のアプリケーション サーバーです。Enterprise Server は高いパフォーマンスとともに、メインフレーム サブシステム エミュレーションも提供します。
Visual COBOL の Interface Mapping Toolkit 機能 (IMTK) を使用して、Enterprise Server で動作する COBOL アプリケーションにアクセスする、EJB または J2SE Bean を生成します。次にこの Bean が、Java アプリケーション サーバーにディプロイされた JCA リソース アダプターを使用します。
詳細については、「Tutorial: Interface Mapping Toolkit」を参照してください。
このシナリオは、Enterprise Server やトランザクション サポートを必要としないアプリケーション、および Java との最良の統合が必要な場合に適しています。
JVM COBOL は、JVM 内で直接実行される Java バイト コードにコンパイルし、COBOL と Java の完全な統合を提供します。この方法では、Java クラスはさまざまな技術を使用して既存の COBOL アプリケーションを呼び出せます。また、COBOL アプリケーションも、Java SDK によって提供される Java クラスまたはルーチンを呼び出せます。
JVM COBOL アプリケーションは、ディプロイ先のプラットフォーム上でビルドする必要があります。
JVM の性質上、COBOL アプリケーションは、JVM 外の標準ネイティブ環境で動作する COBOL アプリケーションに比べて、パフォーマンスが低下する傾向があります。パフォーマンスの低下率は、アプリケーションによって異なります。処理が非常に集中するバッチ アプリケーションではパフォーマンスが低下する可能性がありますが、対話式アプリケーションでは応答性に明確な違いがでないこともあります。
パフォーマンス水準が満足できるものかどうかを判断するため、既存アプリケーションと比較するパフォーマンス テストを行うことを推奨します。
詳細については、「JVM COBOL Interoperability」および「JVM COBOL チュートリアル」を参照してください。
次のシナリオは、最も高いパフォーマンスを必要とするデスクトップ アプリケーションに最適です。COBOL は、COBOL Server ランタイム システムでネイティブ コードとして実行されます。COBOL と Java を同時に使用するには、提供されたサポート ライブラリを使用して呼び出しをコーディングします。
次に示すのは、Java 2 Standard Edition (J2SE) と COBOL を統合する方法です。
詳細については、「関連情報」を参照してください。
次の表に、各シナリオでサポートされる技術、およびアプリケーションを Java と統合するメカニズムをまとめます。
| Enterprise Server | Java バイト コード | COBOL Java ドメイン | |
|---|---|---|---|
| Java アプリケーション サーバーのサポート | あり。一般的なアプリケーション サーバーはすべてサポートされます。「追加ソフトウェア要件」を参照してください。 | あり。「追加ソフトウェア要件」を参照してください。 | 利用できません。
EJB 標準に準拠していないため、Java アプリケーション サーバーでは JNI を使用しないことを推奨します。 |
| データベースのサポート | ODBC、またはサポートされているデータベース ベンダーのプリコンパイラ。 | OpenESQL を使用する JDBC。 | ODBC、またはサポートされているデータベース ベンダーのプリコンパイラ。 |
| デバッグ エクスペリエンス | Eclipse には、Java および COBOL 向けにさまざまなデバッガーがあります。 | Eclipse で Java と COBOL の間をステップ実行することができます。 | Eclipse には、Java および COBOL 向けにさまざまなデバッガーがあります。
両方の言語を同時にデバッグすることはできません。COBOL から独立して Java をデバッグするか、Java から独立して COBOL をデバッグすることはできます。 |
| デスクトップ Java アプリケーション | 一般的な用途ではありません。 | あり | あり |
| EJB のサポート | あり | あり | なし |
| ファイル IO トランザクション | あり。Fileshare を介して行います。 | Fileshare は Java アプリケーション サーバーではサポートされていないため、利用できません。
注: Fileshare はデスクトップでサポートされています*
|
あり。Fileshare を介して行います。 |
| Fileshare のサポート | あり | なし | あり |
| 相互運用性メカニズムおよびパフォーマンス | COBOL アプリケーションは、Enterprise Server でネイティブ コードとして実行されます。IMTK を使用して、EJB または J2SE bean を生成します。これは、COBOL コードにアクセスし、Java アプリケーション サーバーにディプロイされている JCA リソース アダプターを使用します。 | COBOL アプリケーションは、Java が直接アクセスする Java バイト コードにコンパイルされます。 | COBOL アプリケーションは、ネイティブ コードとして実行されます。Java は、JNI を使用してアクセスされます。 |
| Mainframe Subsystem Support | あり | なし | なし |
| JEE コンテナー マネージ トランザクションのサポート | あり。
アプリケーション サーバーと Java の間に、別個のデータベース接続がありますが、協調的なトランザクションはありません。 |
アプリケーション マネージ トランザクションのサポートのみです。 | アプリケーション マネージ トランザクションのサポートのみです。 |
| COBOL からの Java SDK アクセス | なし | あり。完全にサポートされています。 | すべての Java 型は、INVOKE 文を使用してサポートされます。
JNI インターフェイスを通してネイティブ呼び出しを使用する場合は、追加コードを追加する必要があります。 Micro Focus クラス ライブラリを使用して、ユーザー定義型およびマッピングを作成できます。 |
| Web サービス エンドポイント | あり | 直接ではありません。Java は、エンドポイントとして動作し、COBOL を呼び出す必要があります。 | なし |