このチュートリアルでは、SQL Server 用 HCO データベース移行ツールを使用して、メインフレーム・ベースの DB2 データベースを、Microsoft SQL Server データベースに移行する処理の手順について説明します。
要件
このチュートリアルを実施する前に、まず次のチュートリアルを完了して、HCO_Test という名前の SQL Server データベースを構築し、そのデータベースへの接続を確立しておく必要があります。
- 『チュートリアル:SQL Server データベースの作成』
- 『チュートリアル:SQL Server データベース接続の作成』
このチュートリアルを完了するには、メインフレーム・ベースの DB2 データベースへのアクセスおよび接続情報が必要です。これには、次の内容が含まれます。
- コンピュータのアドレスおよびポート番号
- 初期カタログおよびパッケージの集合名
- SYSIBM システム・テータベース・テーブルへの読み取りアクセスが付与された、ユーザ ID およびパスワード
- DSN8910 という名前の DB2 スキーマ (DB2 for z/OS v9 に同梱されている標準スキーマ)
第 1 段階:Enterprise Developer および SQL Server 用 HCO の起動
Enterprise Developer ツールおよび HCOSS for SQL Server ツールが既に実行されている場合は、この段階をスキップしてください。
- [Start > All Programs > Micro Focus Enterprise Developer > Enterprise Developer for Eclipse] の順に選択して、Enterprise Developer を管理者として起動します。
- Eclipse IDE から、[Run > Tools > HCO for SQL Server] の順にクリックします。
第 2 段階:DB2 データベース接続の作成
DB2 データベースの SYSIBM テーブルにアクセスできるように、メインフレームで DB2 データベースへの接続を確立する必要があります。
- Microsoft OLEDB Provider for DB2 がインストールされていることを確認します。
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Manage Connections] をクリックします。この操作で、[Connection List] タブに移動します。
- [New DB2 Connection] をクリックします。この操作で、[DB2 Connection] タブに移動します。
- [Data Source Name] フィールドに、mainframeDB2 と入力して接続の名前を指定します。
- このタブの残りのフィールドすべてに、値を入力します。有効な接続を確立するには、すべてのフィールドに有効な値を入力する必要があります。必要とされている正しい値が不明な場合は、担当の DB2 管理者にお問い合わせください。
- [Test] をクリックします。テストに失敗した場合は、フィールドの入力内容を確認し、必要に応じて修正してから、再び試します。正常な接続を確認したら、[OK] をクリックします。
- [Save] をクリックして接続を作成します。これにより [Connection List] タブに戻ります。作成した DB2 接続が表示されていることを確認します。
第 3 段階:DB2 スキーマの抽出
この段階では、DB2 データベースから、スキーマの情報が含まれた XML ファイル形式で DSN8910 スキーマをダウンロードし、そのファイルをテキスト・エディタで表示します。DSN8910 スキーマは、DB2 for z/OS v9 に同梱されている標準スキーマです。
- DSN8910 スキーマを抽出します。
-
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Extract Schema] をクリックします。この操作で、[Schema Extract] タブに移動します。
- [Source Connection] ドロップダウン・リストから、Manage Connections ツールを使用して接続を作成した際に指定した、DB2 データ・ソースを選択します。
指定する DB2 データベース接続によっては、ユーザ ID およびパスワードの入力を求めるプロンプトが表示される場合があります。その場合は、DB2 接続を作成した際に指定したユーザ ID およびパスワードを入力してください。
接続が完了したら、HCOSS に使用できるスキーマ・オブジェクトの一覧が表示されます。
- [New] をクリックします。
- [Schema Extract Name] フィールドに dsn8910 と入力して、[OK] をクリックします。
- [Local] をクリックします。この操作により、HCOSS の [Local HCOSS Directory] オプションで指定されているディレクトリに生成されたスキーマ抽出ファイルを保存するように、Extract Schema ツールが設定されます。
- [Select schema(s) to extract] リストで、DSN8910 スキーマに対応するボックスをオンにします。
- [Extract] をクリックします。この操作により、スキーマ抽出処理が開始され、dsn8910.hcodbs XML ファイルに書き込みが行われます。また、[Results] タブが表示されます。ここで、抽出の結果を確認することができます。
- dsn8910.hcodbs ファイルを表示します。
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- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Options] をクリックします。
- [Local HCOSS Directory] のパス指定を確認します。デフォルトは %LOCALAPPDATA%\Micro Focus\Enterprise Developer\hcoss です。
- テキスト・エディタを起動して、次のファイルを開きます。
localHCOSSDirectory\Schemas\dsn8910.hcodbs
ここで、localHCOSSDirectory は、[Local HCOSS Directory] オプションのパス指定です。
- ファイルの確認が終了したら、テキスト・エディタを閉じます。保存するかを尋ねるプロンプトが表示された場合は、保存しないでください。
第 4 段階:転送リストの作成
この段階では、抽出した DB2 スキーマから、オブジェクトのリストを作成します。この後の段階で、HCOSS は、転送リストを使用してこの抽出および移行に関連するオブジェクトを識別します。
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Define Lists] をクリックします。
- [Transfer Lists] タブで、[New] をクリックします。
- [Name] フィールドに dsn8910 と入力します。
- [Schema Extract] ドロップダウン・リストから、[dsn8910] を選択します。この操作により、[Available Objects] リストが入力されます。
- [Add All] をクリックして、使用できるスキーマ・オブジェクトをすべて [Selected Objects] リストに追加します。
- [Save] をクリックします。
第 5 段階:DDL の生成と確認
移行プロセスのこの段階では、オブジェクト転送リストにあるスキーマ・オブジェクトから、DDL を生成します。この DDL は、次の段階で新しい SQL Server データベースの構造体 (テーブル、ビュー、索引、および外部キー関係など) を定義する際にします。
- DDL を生成します。
-
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Generate DDL] をクリックします。この操作で、[DDL Tasks] タブに移動します。
- [New] をクリックして、新しい DDL タスクを作成します。
- [Name] フィールドに dsn8910test と入力します。
- [Transfer List] ドロップダウン・リストから、[dsn8910] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [Connection for Execute] ドロップダウン・リストから、[HCODemo] を選択します。
- 抽出したスキーマを SQL Server スキーマにマップするには、次の操作を行います。
- [Schema Mappings] をクリックします。この操作で、[Schema Mappings] タブに移動します。
- [SQL Server Schema Name] フィールドに TEST と入力します。
- [DDL Tasks] タブをクリックし、[Save] をクリックします。
- [Execute] をクリックして、DDL を生成するタスクを実行します。
- SQL Server データベース構造体を確認します。
-
- Eclipse で [Server Explorer] を開き、SQL Server の接続を追加します。
- [HCO_Test] データベースのエントリおよびその下の [Tables] サブエントリを展開して、SQL Server データベースに適切なオブジェクトが作成されたことを確認します。ここで、TEST スキーマ内に作成されたオブジェクトが表示されます。オブジェクトが表示されない場合は、データベース名をクリックして表示を更新してください。
- 処理を繰り返します。
-
- 次の情報を使用して上記の手順を繰り返し、抽出したスキーマを別の SQL Server スキーマにマップします。
DDL タスク名 |
dsn8910prod |
関連する転送リスト |
dsn8910 |
実行する接続 |
HCODemo |
SQL Server スキーマ名 |
PROD |
- 保存し、実行して確認します。
第 6 段階:データの伝送と確認
HCOSS Transfer Data ツールを使用して、DB2 データベースのデータを SQL Server データベースのスキーマ・オブジェクトに入力します。
- データを転送します。
-
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Transfer Data] をクリックします。この操作で、[Transfer Data Tasks] タブに移動します。
- [New] をクリックして、新しいデータ転送タスクを作成します。
- [Name] フィールドに dsn8910test と入力します。
- [DDL Task] ドロップダウン・リストから、[dsn8910test] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [Source Connection] ドロップダウン・リストから、[mainframeDB2] (ご使用の DB2 接続の名前) を選択します。
- [Destination Connection] ドロップダウン・リストから、[HCODemo] (ご使用の SQL Server 接続の名前) を選択します。
- [Save] を選択してタスクを保存します。
- [Transfer] をクリックしてリストを転送します。この操作で、[Results] タブに移動します。このタブには、転送の実行に合わせてログ・メッセージが表示されます。
- データ転送を確認します。
-
- Eclipse の [Server Explorer] で、HCO_Test データベースの TEST.DEPT テーブルのテーブル・データを表示します。
- 処理を繰り返します。
-
- 次の情報を使用して上記の手順を繰り返し、別の DDL タスクのデータを転送します。
データ転送のタスク名 |
dsn8910prod |
関連する DDL タスク |
dsn8910prod |
ソース接続 |
mainframeDB2 |
宛先接続 |
HCODemo |
- 保存し、転送して確認します。
第 7 段階:データの比較
この最後の段階では、HCOSS Compare Data ツールを使用して、DB2 データベース内のデータと、SQL Server データベースに転送されたデータを比較します。
- データを比較します。
-
- SQL Server 用 HCO のインターフェイスで、[Compare Data] をクリックします。
- 適切な [Source Connection] と [Destination Connection] を選択します。
- [New] をクリックして、新しいデータ比較タスクを作成します。
- [Name] フィールドに dsn8910test と入力します。
- [DDL Task] ドロップダウン・リストから、[dsn8910test] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [Save] を選択してデータ比較タスクを保存します。
- [Compare] をクリックしてデータを比較します。この操作で、[Results] タブに移動します。このタブには、ツールによるデータ比較の進行に合わせてメッセージが表示されます。
- 処理を繰り返します。
-
- 次の情報を使用して上記の手順を繰り返し、別の DDL タスクのデータを比較します。
データ比較のタスク名 |
dsn8910prod |
関連する DDL タスク |
dsn8910prod |
ソース接続 |
mainframeDB2 |
宛先接続 |
HCODemo |
- 保存して比較します。
このチュートリアルはこれで終了です。次に、以下の 1 つ以上のアプリケーション移行チュートリアルを完了してください。以下のチュートリアルでは、このチュートリアルで作成した TEST および PROD スキーマを使用します。