この章では、ライセンス管理機能の管理作業について説明します。
ライセンス管理機能は、手動で操作しなくても自動的に実行されるため、このソフトウェアの管理作業はほとんどありません。ただし、いくつかの設定と監視が必要です。
必要な管理作業は、次のとおりです。
各タイプのライセンスの発注数を決定するときには、次の点を考慮します。
ライセンスの詳細については、『Micro Focus エンドユーザ使用許諾契約』と、Micro Focus ソフトウェアに添付されるライセンス情報を参照してください。
ライセンス管理機能は、ライセンス製品を実行するシステムごとにインストールする必要があります。各システムで必要なライセンス管理機能は、ライセンス製品の数に関係なく、1 つだけです。
ライセンス管理機能は、単独でインストールすることもライセンス製品と同時にインストールすることもできます。ライセンス管理機能を製品と同時にインストールしない場合は、製品をインストールしたディレクトリの lmf サブディレクトリへ進み、次のように入力して、あとでインストールすることができます。
sh lmfinstall
ライセンス管理機能のインストール方法については、『ご使用の前に』を参照してください。
注:ライセンス管理機能を再インストールしないかぎり、一度インストールしたライセンスデータベースを別のディレクトリに移動することはできません。インストールしたライセンスデータベースを移動するには、既存の mflmf ディレクトリとその内容を削除し、ライセンス管理機能のインストールスクリプトを起動します。その際、インストール先として別のパスを指定して、ライセンスキーを再入力します。
インストール過程で、システムの起動時に必ず License Manager が自動起動される設定を選択することができます。自動起動を選択しない場合は、システムを起動するたびに License Manager を手動で起動する必要があります。
License Manager を手動で起動する方法は、次のとおりです。
sh mflmman [FORCE|WAIT] [TRACE]
FORCE
、WAIT
、および TRACE
は必要に応じて指定します。
FORCE |
デフォルトでは、前回実行した License Manager により起動されてライセンスを取得したタスクが実行されている間は、License Manager が起動しません。
この場合は、FORCE 指令を指定すると、先に起動されているタスクをまず License Manager で終了した後に、再度 License Manager を起動することができます。 |
WAIT |
前回実行した License Manager により起動されてライセンスを取得したタスクが終了するまで、License Manager を中断します。
すでにライセンスを取得したタスクを中止しないで、自然に完了するまで待機する場合にこの指令を使用します。 |
TRACE |
License Manager により License Manager の動作のログを MF-LMF.log ファイルに記録します。
この指令では、ログファイルに追加情報を記録します。このログファイルは、主に Micro Focus がライセンス管理機能の障害を解決する場合に使用します。 通常と異なる動作が発生した場合は、この指令を使用してください。ログファイルが必要以上に大きくなるのを避けるため、デフォルトでは使用しないでください。 |
インストール後に、License Manager がシステムの起動時に自動起動されるようにするには、次のように設定します。
SCO OpenServer 以外のシステムの場合は、ライセンス管理機能のインストールディレクトリから mflmrcscript スクリプトを /etc ディレクトリにコピーします。
SCO OpenServer 以外のシステムの場合は、/etc/inittab ファイルに次のエントリを追加します。
mF:2345:wait:sh /etc/mflmrcscript>/dev/null 2>&1
詳細については、オペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
ライセンス製品を使用するには、あらかじめこれらの製品のライセンスキーをインストールしておく必要があります。各ライセンスキーによりライセンス製品のロックが解除され、製品を使用できるようになります。
ライセンスキーのインストールとライセンス製品のインストールは別の手順です。そのため、ライセンス製品を再インストールしないで、いつでもライセンスキーを追加することができます。
ライセンスキーをインストールするには、コマンド行または License Administration Service のメニュー形式のインターフェイスを使用します。すばやくインストールを開始するには、次のようにコマンド行からインストールします。
sh mflmcmd
ライセンスがライセンスデータベースに追加されます。
AIX の 64 ビット版の Server Exrpress:
AIX に 64 ビット版のライセンスをインストールして、64 ビット版の Server Express 開発システムを使用する場合は、旧バージョンの 32 ビット版の Server Express 用に AIX にインストールされている 32 ビット版のライセンスは有効なままです。64 ビット版の作業モードを使用している間に 32 ビット版のライセンスをインストールおよびアンインストールすることができます。この操作を行っても、64 ビット版の Server Express には影響しません。
ただし、AIX の 64 ビット版 の Server Express で 32 ビット版用のライセンスは使用できません。同様に、AIX の 32 ビット版の Server Express で、64 ビット版用のライセンスを使用することもできません。
License Administration Service では、メニュー形式のインターフェイスを使用して Micro Focus 製品のライセンスキーを管理します。ライセンスキーの管理には、ライセンスキーのインストールとアンインストール、およびインストールされたライセンスの確認などが含まれます。
メニュー形式のインターフェイスを使用するには、画面処理と、関連ファンクションキーを使用できるようにあらかじめ端末を設定する必要があります。具体的には、環境を次のように設定します。
作業を進める前に、『ユーザガイド』の『Terminfo データベースおよび端末装置』の章を参照することをお奨めします。
License Administration Service を起動する方法は、次のとおりです。
sh mflmadm
License Administration Service を使用してヘルプを表示するには、F1 (ヘルプ) キーを押します。現在のメニューに関する説明が表示されます。
ヒント 使用中の UNIX 端末で F2 や F3 などのファンクションキーを使用できない場合は、/ キーの後にファンクションキーの番号を押します。たとえば、F2 キーを使用できない場合は、/2 と押します。キー操作の対応については、付録 A『UNIX のキー割り当て一覧』を参照してください。
ライセンス製品を使用するには、あらかじめこれらの製品のライセンスキーをインストールしておく必要があります。各ライセンスキーによりライセンス製品のロックが解除され、製品を使用できるようになります。
ライセンスキーのインストールとライセンス製品のインストールは別の手順です。そのため、ライセンス製品を再インストールしないで、いつでもライセンスキーを追加することができます。
License Administration Service のメニュー形式のインターフェイスを使用してライセンスキーをインストールする方法は、次のとおりです。
注:同様に、コマンド行から次のコマンドを入力してもライセンスデータベースをリフレッシュすることができます。
lmfgetpv r
コマンド行からこのコマンドを実行する場合は、ライセンス管理機能のインストールディレクトリから実行する必要があります。オペレーティングシステムに応じて、デフォルトのインストールディレクトリは /usr/lib/mflmf または /opt/lib/mflmf です。
ユーザとマシンに対するライセンスの割り当て変更やライセンスの追加が必要になることがあるため、ときどきインストールされているライセンスの内容を確認してください。
使用中のライセンスを確認するには、License Administration Service のメインメニューで F5 (表示) キーを押します。ロードした複数のライセンス間を移動するには、F2 (前へ移動) キーまたは F3 (次へ移動) キーを押します。メインメニューに戻るには、F5 (表示の終了) キーを押します。
ライセンス製品のユーザが増えた場合など、ライセンスを追加する必要があるときは、Micro Focus に連絡し、ライセンスを追加購入してください。
既存のライセンスを別のマシンに移動する場合は、元のマシンからライセンスキーをアンインストールした後で、別のマシンにインストールしなおします。詳しい手順については、この章の『ライセンスキーのアンインストール』と『ライセンスキーの初回インストール』を参照してください。
ライセンスキーをアンインストールするには、License Administration Service のメインメニューで F2 (ライセンスキー) キーを押して、「重要な製品情報」と書かれているライセンスキーカードに印刷されたシリアル番号とライセンス番号を入力します。Enter キーと F4 (アンインストール) キーを押します。
License Manager は継続的に実行されているため、手動で操作する必要はありません。License Manager とはコンソールを通じて通信し、「License Manager プロセスの起動」などの状態と動作がコンソールに報告されます。License Manager プロセス mflm_manager は、デーモンとして実行される独立したプロセスです。
License Manager の動作を確認する方法は、次のとおりです。
./lmfgetpv
License Manager が実行されている場合は、lmfgetpv により実行されている License Manager のバージョン番号とロード元のパスが表示されます。License Manager が実行されていない場合は、それを知らせるメッセージが表示されます。
ライセンスデータベースは、自動的にバックアップされます。予期しない障害が発生した場合は、License Administration Service の起動時に障害が検知され、ライセンスデータベースをバックアップから復元することができます。 ライセンスデータベースファイルは、mflmfdb、mflmfdb.idx、mflmfdbX、および mflmfdbX.idx です。
重大な障害が発生した場合は、Micro Focus アンサーラインに相談してください (詳細は、ハードディスクにインストールされた readme を参照してください)。Micro Focus アンサーラインでは、次のような対応を依頼することがあります。
現在ライセンスを使用中のプロセスの一覧を取得するには、次の操作を行います。
./lmfgetpv w
lmfgetpv ユーティリティは、各プロセスについて実行時間、ユーザ ID (番号と名前)、プロセス ID、端末名の末尾 8 文字、実行している製品を表示します。
License Manager のダンプを取得するには、次の操作を行います。
./lmfgetpv d
lmfgetpv ユーティティ が License Managerデーモンのデータダンプを、License Managerを起動した LMFディレクトリの lmf-dump というファイルに書き出します。このファイルはライセンス関係の問題を調査する際に Micro Focusサポートラインにとって有益な情報となります。
実行中の License Manager を停止する方法は、次のとおりです。
./lmfgetpv k
License Manager では、名前付きパイプを一時ファイルとして使用します。この名前付きパイプは、UNIX オペレーティング システムの P_tmpdir
設定で定義された場所に作成されます。 通常は、/tmp です。名前付きパイプの場所は、移動することができます。
License Manager が起動すると、一時的ではない名前付きパイプが 1 つ作成されます。このパイプは LMF-common と呼ばれ、License Manager が終了されるまで存在します。License Manager はまた、動作中に、一時的な名前付きパイプを数多く作成しますが、これらの名前付きパイプは、短時間しか存在しません。
一時ディレクトリ内のエントリをすべて削除する場合に LMF-common だけを明示的に除外しなくてもよいように、このパイプを別のディレクトリに移動することができます。パイプを別のディレクトリに移動するには、License Manager の起動ジョブに LMFCOMM 環境変数を設定します。この環境変数は、ジョブの Licence Manager の起動コマンドより前に記述します。LMFCOMM の形式は、次のとおりです。
LMFCOMM=directory
directory
は、License Manager が名前付きパイプ LMF-common を格納するディレクトリの完全パス名です。たとえば、次のように指定します。
LMFCOMM=/usr/templmf export LMFCOMM
ライセンスが必要な開発システムを使用するすべてのユーザは、LMFCOMM で指定したディレクトリに対して完全な読み書きアクセス権と実行アクセス権を持っている必要があります。また、すべての開発システムユーザは、各環境に License Manager と同じ値の LMFCOMM を設定する必要があります。このように設定しない場合は、ユーザが License Manager と通信してライセンスユニットを取得することができません。
注:LMFCOMM の設定は、LMFTEMP の設定とは関係ありません。LMFTEMP については、次の項を参照してください。
一時的な名前付きパイプも移動できます。ただし、システム障害などが原因で License Manager により破棄されない名前付きパイプは、通常のシステムで実行される一時ディレクトリの解析で自動的に削除されるため、一時的な名前付きパイプを移動する必要はありません。
一時的な名前付きパイプを移動する場合は、LMFTEMP 環境変数を設定します。形式は、次のとおりです。
LMFTEMP=directory
directory
は、License Manager が一時的な名前付きパイプを格納するディレクトリの完全パス名です。この環境変数は、ジョブの Licence Manager の起動コマンドより前に記述します。たとえば、次のように記述します。
LMFTEMP=/usr/templmf export LMFTEMP
ライセンスが必要な開発システムを使用するすべてのユーザは、LMFTEMP で指定したディレクトリに対して完全な読み書きアクセス権と実行アクセス権を持っている必要があります。また、すべての開発システムユーザは、各環境に License Manager と同じ値の LMFTEMP を設定する必要があります。このように設定しない場合は、ユーザが License Manager と通信してライセンスユニットを取得することができません。
注:LMFTEMP の設定は、LMFCOMM の設定とは関係ありません。LMFCOMM については、前の項を参照してください。
この項では、開発者が遭遇する可能性のある問題と、その回避方法について説明します。発生する可能性のある問題については、『一般的な質問と回答』の章でも説明されています。
ユーザが、スクリプトから一連の開発タスクを実行した場合 (たとえば、プログラム群をコンパイルする場合) に、スクリプトが開発タスクの 1 つを開始しようとした瞬間に、ライセンスの数が不足する可能性があります。
これは、次のような場合に発生します。
いずれの場合も、スクリプトの開発タスクの一部は正常に実行され、一部はライセンスが使用できないために失敗します。
ユーザのスクリプトは、各タスクが正常に終了したかどうかを、シェルの $? リターンステータス経由でタスクに関して返される値をテストして監視できます。ゼロは正常に実行されたことを、ゼロ以外は失敗したことを示します。
開発者がこのようなスクリプトを実行し、上記の問題に遭遇した場合は、タスクに環境変数 LMFWAIT を設定するように開発者に指示してください。LMFWAIT は、タスクがライセンスユニットの取得を試行する回数を指定するために使用します。デフォルトでは、タスクは 10 秒間隔でライセンスユニットの取得を試みます。実際は、タスクはライセンスユニットが解放されるまで一時停止の状態になります。
LMFWAIT の形式は、次のとおりです。
LMFWAIT=retries[,wait]
パラメータの説明は、次のとおりです。
retries |
タスクが、ライセンスの取得を試みる回数 |
wait |
ライセンスの取得を試みる間隔 (単位:秒)。デフォルト値は 10 です。 |
たとえば、ライセンスの取得を 100 回試みるには、次のように LMFWAIT を設定します。
LMFWAIT=100 export LMFWAIT
ライセンスの取得を、1 分ごとに 25 回試みるには、次のように設定します。
LMFWAIT=25,60 export LMFWAIT
開発者が環境変数 COBSW を +A (Animator の起動を意味する) に設定しており、Server Express 統合開発環境 (SDE) を起動した場合は、デバッグセッションが開始され、端末への接続が試みられます。しかし、ライセンスが 1 つしかない場合は、接続に失敗し、次のメッセージが表示されます。
Micro Focus LMF - 005: You have exceeded the license limit for this product
これは、デバッグセッションの端末名がオペレーティングシステムにより設定されており、SDE 自体により使用される端末名と同じでない場合に発生します。したがって、License Manager が、2 つの端末セッションを異なるセッションとして認識し、それぞれにライセンスが必要となります。
開発者に SDE を COBSW=+A と併用しないよう指示するか、追加のライセンスを入手する必要があります。
データベースが削除されたり破損した場合は、バックアップからデータベースを復元することができません。 ユーティリティ lmfdbrecover を使用してデータベースを回復し、ライセンスを再度インストールできます。 このユーティリティは、ライセンスデータベースと、システムに関連するすべてのファイルを削除し、データベースを再作成します。 その後、ライセンス管理機能が起動して、ライセンスの再インストールを求めるプロンプトが表示されます。
破損したデータベースを回復するには、次の手順を行います。
sh lmfdbrecover
開発ライセンスデータベースが破損している場合は、同じようなユーティリティ aslmdbrecover を使用して回復できます。 『ディプロイライセンスガイド』の『ライセンスのインストールと管理』の章の『破損したデータベースのリカバリ』を参照してください。
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