Micro Focus Visual COBOLの機能を活かして、高精度なストレートコンバージョンを実現
厳しいQCDニーズを満たしメインフレームシステムのオープン化に成功
ANAグループの情報システムを支えるANAシステムズ株式会社。ANAグループ各社からのさまざまな要請に応えて、システム開発、フィールドへの展開から稼働後のシステム運用まで幅広く品質の高いトータルサービスを提供し、ANAグループのフライトの信頼性と安全性を磐石の備えでサポートしている。
ANAシステムズ株式会社は、ANAグループの情報システムを支える企業として、グループ各社からのさまざまな要請に応えるとともに、最新のビジネスモデルを提案し、システム面からフライトの信頼性と安全性を磐石の備えを持って支えています。
航空業界に特化したIT企業として、エアラインビジネスに直結した企画・提案、大型プロジェクトの受託開発、フィールドへの展開から稼働後のシステム運用まで幅広く品質の高いトータルサービスを提供しています。
同社は以前からメインフレームシステムのオープン化を推進しており、2016年、メインフレーム上で稼働するシステムは「国内旅客収入管理システム」が最後の一つとなっていました。このシステムは、旅客収入情報の登録や、計上システムへの入力支援、代理店への請求用情報や帳票作成、関連データウェアハウスへの情報提供などを担うものです。運用コストが高いため、他のシステムと同様にオープン化が望まれましたが、このシステムと連携する上流の旅客系システムの改定が優先されていました。
しかし、短期間で脱メインフレームを実現する必要が生じます。きっかけはIBMメインフレームが設置されていたデータセンターの移転が計画されたことでした。メインフレーム移設は現実的でなく、オープンシステムへマイグレーションし、新データセンターに構築するプライベートクラウド環境に移行することにしたのですが、許された期間は13ヶ月でした。ANAシステムズ株式会社 次期収入管理システムプロジェクト チーフエキスパート 杉山展康氏が、この期間での移行が可能かキヤノンITソリューションズに問い合わせたところ「過去実績と照らし合わせると、このシステム規模では短期間の部類となるが、同規模のマイグレーション経験があり、スケジュールの工夫によっては提案可能」との回答がありました。具体的にはパイロットテストや新旧比較テストの実施タイミングの工夫が必要とのことでした。杉山氏は、ストレートコンバージョンによるマイグレーションの実績が豊富なキヤノンITソリューションズに提案を依頼します。
ANAシステムズ株式会社が手がけるANAグループ内のシステムは多岐にわたるため、同社は、それぞれの目的や特質に合わせSaaSの利用やスクラッチ開発など、さまざまな構築手法の中から、最適QCDを実現できるものを柔軟に選択してきました。それはレガシーシステムの刷新においても同様です。ツールによるストレートコンバージョンで高精度なマイグレーションが可能なのか、同社は検討を開始しました。
ストレートコンバージョンは担当部門にとっては初めての取り組みということもあり、杉山氏がまず行なったのは、キヤノンITソリューションズが過去に手がけたマイグレーションのお客様を訪問し、クライアントの立場からの率直な意見をヒアリングすることでした。その結果、同社のストレートコンバージョンによるマイグレーションが高く評価されていることを知ったそうです。さらにストレートコンバージョンという手法の妥当性を確信したのが、POCでした。
杉山氏はこう語ります。「納期が限られていたこともあり、早い段階でストレートコンバージョンという手法の妥当性を確認する必要がありました。そのため、当社の実データと、複数のバッチ処理を含むプログラムを選びマイグレーションしてもらったのです。これで比較検証だけでなく画面の遷移や動きまで細かく確認しました。その結果は期待を上回るもので、不安は払拭されました。早い段階でフィージビリティの検証をPOCで確認できたことで、安心感をもってプロジェクト実施を決断できました」
マイグレーションの課題のひとつが、旧システムのNaturalやCOBOLプログラムなどの資産をWindows環境へ移行するにあたり、どう資産の互換性を保つかでした。その解決の決め手となったのがMicro Focus Visual COBOLです。マイクロフォーカス ソリューションプロバイダとして豊富な実績を持つキヤノンITソリューションズは、本プロジェクトでのVisual COBOLの利用を提案、杉山氏がヒアリングした事例もまた、NaturalプログラムをVisual COBOLに変換したものでした。同社はVisual COBOLの採用を決定します。
プロジェクトを開始し、システム分析計画フェーズを済ませた後、まず実施したのがパイロットコンバージョンです。キヤノンITソリューションズが持つ資産変換ツールの中から最適なものを選び、POCよりも精度の高い資産変換を実施しました。変換後の資産を用いてオンラインとバッチのパイロットテストを実施し、メインフレームとの動作差異となる「非互換項目」をチェックしました。「非互換項目」については対処方法の検討も合わせて実施し、この時点で移行対象機能の基本動作確認をとることができたといいます。
パイロットテスト結果に基づく変換ツールのカスタマイズ作業や、それに続く資産変換をあわせても、費やしたのはわずか4ヶ月。これにより余裕をもって新旧システムの比較テストを行うことができました。比較テストと並行して、操作性検証も含めたシステムテストも実施、その後、稼働リハーサルへとプロジェクトは順調に進み、開発着手から13ヶ月で本番稼働に至りました。
パイロットテスト後の新旧比較テストは、すべての処理でテストすれば安心ですが、大きなコストがかかります。これについて、キヤノンIT ソリューションズから、ツールによる資産変換方式の特性と過去実績から、全体の25% をテスト対象としてはどうかと提案がありました。POC やパイロットテストの結果による品質を信頼し、その規模を採用したところ、NATURAL からCOBOLへの変換やADABAS の変換も問題がなく、次工程のシステムテストでは品質面の問題は検出されませんでした。
また、Micro Focus Visual COBOLを活用したマイグレーションの精度は非常に高く、操作画面も旧システムのものをかなり忠実に再現できたので、ユーザーはまったく違和感なく新システムを利用しているそうです。今回もキヤノンITソリューションズがMicro Focus Visual COBOLを採用した理由を同社 SIサービス事業部 ソリューション開発本部 ソリューション開発第四部 部長 山口富氏はこう語ります。「ホストの動きをエミュレーションする機能が充実していることだけでなく、IBMメインフレームとの親和性が高いことが強みですね。コンパイルオプションなどを使うとほぼ同じ動きを再現できるので、テストしても障害が少なく生産性が高いです。マイクロフォーカス社はホストとの互換性に関する知識経験が豊富で、質問への回答も早く、信頼できる技術パートナーです」
2017年6月、新システムは無事カットオーバー。本番移行後も安定稼働を続けている新システムについて、杉山氏からは嬉しいコメントをいただきました。「メインフレームの撤廃により運用コストは大きく下がりました。高精度なマイグレーションは、当初期待したQCDを全て満たし、当社内でも高く評価されました」
メインフレーム脱却とWindows環境へのマイグレーション
キヤノンITソリューションズの変換ツールでストレートコンバージョン
本 社
東京都大田区
設 立
2013年4月
資 本 金
8,000万円
従 業 員 数
844名(2018年4月1日現在)
事 業 内 容
ANAグループの情報システムの開発、運用
本 社
東京都品川区
設 立
1982年7月
資 本 金
36億1,700万円
売 上 高
798億3,700万円(2017年12月期 単体)
従 業 員 数
3,812名(2017年12月末日現在・単体)
事 業 内 容
SIおよびコンサルティング、各種ソフトウェアの開発・販売