日産車体株式会社/
日産車体コンピュータサービス株式会社

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安定稼働が最優先のビジネスに直結する基幹システム
サーバー移行プロジェクトで日産車体は今回もMicro Focus COBOLを選択

日産車体株式会社は、小型商用車、ミニバン、SUV、ビジネスバンなどを中心に生産する日産グループの自動車メーカーです。同社のAIXベースのデータベースサーバーは、ほとんどすべての基幹業務システムがアクセスする心臓部で、工場の完全休止時以外は休みなく動き続けています。2014年、このサーバーが導入8年目を迎えたため、同社IT推進部は日産車体コンピュータサービスとともにサーバー移行を決断しました。

移行に関して最も重視した要件は「基幹業務へ一切影響を及ぼさないこと」でした。そのため、Micro Focus COBOLで記述されたバッチ処理プログラムのAIX to AIXのストレートコンバージョンが最初に決定されました。20年以上にわたって安定的に稼働する1,500本を超えるソフトウェア資産を、新しく書き換えるのはリスクが高く、短いプロジェクト期間では不可能と判断されたのがその理由でした。

The Company

日産車体株式会社は、文字どおり日産グループの自動車メーカーです。神奈川県湘南地区と九州地区に生産拠点を持ち、小型商用車、ミニバン、SUV、ビジネスバンなどを生産しています。同社は小型商用車の開発・生産に関して独自のノウハウを有しており、日産グループにおける開発・生産をグローバルで担っています。

中でも車両開発を行った「NV200バネット」をベースとした「NV200タクシー」が、まず米国ニューヨーク市でイエローキャブとして大活躍。約700台が市中を駆け巡っています。スペイン・バルセロナやオランダ・アムステルダムなどヨーロッパでも、電気自動車「e-NV200」をベースとしたタクシー約200台が走行。2015年6月には、いよいよ国内でも販売がスタートしました。広々とした室内空間や楽に乗り降りできる大きなドアなどを備えた新世代のワゴンタクシーとして大きな話題を集めています。

The Challenge

日々の基幹業務を支えるITとして、同社はメインフレームおよびオープンシステムをパラレルで活用しています。なかでもAIXベースのデータベースサーバーは、ほとんどすべての基幹業務システムがアクセスする心臓部になっています。内部はMicro Focus COBOLで記述されたバッチ処理プログラムや連携する他システムからのアクセスなど、昼夜を問わず、年末年始など工場が完全休止するとき以外は休みなく動き続けています。

2014年、このサーバーが導入8年目を迎えました。同社IT推進部と日産車体の情報システムを支える日産車体コンピュータサービス株式会社(以下、NCS)は、そのサーバー移行を計画します。日産車体コンピュータサービス株式会社 日産車体システムサポート部 高橋義直氏は、次のように語ります。

「ハードウェア更改時期にはまだ少し時間があり、システム老朽化が顕在化したわけではありませんでした。しかし、日々の基幹業務を支えるサーバーだけに何かが起こってからでは遅すぎます。余裕を持って移行に向け動き始めました」

これは “End of Support(以下、EOS)対応プロジェクト” と命名され、このサーバーのほか、Visual Basic 6.0ベースで動く業務アプリケーションサーバーなど合計3種類のサーバー群が新しい環境に移されることになりました。想定したプロジェクト期間は1年。それ以上長くなると、ビジネスニーズの変化を受けたサーバーへのプログラム変更要求を抑制しきれないと判断したからです。

このプロジェクトは、IT推進部とNCSの両組織にとっても深い意味合いがありました。日産車体株式会社 IT推進部 主担 滝口亮氏は、次のように語ります。

「これまで我々情報システム部門は、どちらかといえば現場の要望を受けてから動く傾向がありました。しかし、経営に資する攻めるIT構築を自ら企画して実行できる提案型組織へ進化しようとしていました。NCSも、従来はどちらかといえば”実働部隊”でしたが、彼らも考えて動ける組織への変革が求められていました」

そこへ立ち上がったEOS対応プロジェクト、両組織の新たなチャレンジがスタートしました。

The Solution

データベースサーバーの移行にあたってプロジェクトチームが掲げた要件は「基幹業務へ一切影響を及ぼさないこと」でした。現場が移行に気づかないというのが理想だったのです。そこで最初に決定したのは、Micro Focus COBOLで記述されたバッチ処理プログラムのストレートコンバージョンです。日産車体コンピュータサービス株式会社 システム開発部 プロジェクトマネージメントリーダー 土井篤朗氏は次のように語ります。

「バッチ処理プログラムは総数にして1,500本を超えます。これまで20年以上にわたって蓄積されてきたアプリケーション資産で、稼働も非常に安定しています。リライトも検討した結果、有効な既存資産をそのまま活かした形で移行することに決定しました。COBOLは長期的に安定して利用できる言語だと思います。最初のシステム構築時とその後のサーバーリプレイスで2回、Micro FocusのCOBOL製品を選んでいますが、今回も実績あるこの製品で行くことにしました」

サーバーのOSも、引き続きAIXを選択。これについて土井氏はこう語ります。

「Linuxも検討しましたが、AIXとはメモリのエンディアン方式が異なるので、Linuxに変えるとなると、1,500本のプログラムを1本1本詳細に見て、それぞれ対策を考え、品質や性能を担保するために綿密にテストする必要があります。これをやっていると、1年やそこらでは終わらないな、と。AIXはハードウェアが高価ではあるのですが、Linuxに変更するためにかける時間、コスト、リスクを考え合わせると、トータルコストはそれほど大きく変わらないという結論に達しました」

システム概要

システム概要

The Result

同社では、2011年3月の東日本大震災を契機に、BCP強化の観点から大半のシステム環境を遠隔地のデータセンターへ移管しました。現在、そこへ本番機仕様の開発機到着を待ちながら、移行準備を着々と進めています。本番稼働予定は2016年ゴールデンウィーク明け。容易に止められないサーバーであるため、このタイミングで必ず切り替えを成功させると、プロジェクトチームは意気込んでいます。「業務アプリケーションについては、この機会にプログラムの棚卸しを行い不要なものは整理していきます。現在、エンドユーザーとの調整を進めています」と日産車体株式会社 IT推進部 鈴木大輔氏。

こうしたプロジェクトチームの中で、また日々の基幹業務システム開発・保守支援で活躍しているのが、Micro FocusのCOBOL製品です。両社合わせて総勢約30名がこのツールを使ってプログラムをアップデートしており、日常業務の中にすっかり溶け込んだ存在になっています。

土井氏は今回のサーバー移行プロジェクトへの期待を次のように語ります。

「まずは潜在的なリスクの軽減ですね。このサーバーに何かが起こると、日産車体全社の業務に影響が出てしまうため、移行してリスクを大幅に下げる、それも移行による停滞が生じないようスムーズに、というのが第一の目標です。そしてもう一つは、バッチ処理の高速化です。現在でも特に問題があるわけではないのですが、より速くなればより業務のスピードを上げられるため、この点も期待を寄せています」

日産車体コンピュータサービス株式会社 日産車体システムサポート部 次長 春山直靖氏はこう付け加えました。

「両社の組織変革も目標に掲げましたが、”経営に資する攻めるITはどうあるべきか” を常に考えながら進む体制が、このプロジェクトを通じて形になりつつあります。より迅速にユーザーの要望に応えられる体制、さらに受身ではなく提案型で戦略的なITを目指し、一丸となって進んでいます」

本プロジェクトメンバーの方々

本プロジェクトメンバーの方々

Technical Keyword

既存COBOLアプリケーション資産の有効活用
サーバー移行におけるリスク低減とシステムの最適化

ユーザープロフィール

日産車体株式会社

本 社

神奈川県平塚市

創 業

1941年7月

資 本 金

79億400万円

売 上 高

4,742億3,900万円(2014年3月期)

従 業 員 数

1,942名(2015年3月31現在)

事 業 内 容

各種自動車の開発から品質保証まで

日産車体コンピュータサービス株式会社

本 社

神奈川県平塚市

設 立

1987年1月

資 本 金

1億円

従 業 員 数

212名(2015年3月31現在)

事 業 内 容

アプリケーションシステム開発、システム運用・保守