マレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)

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マレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)

メインフレームからオープンシステムへリホスト
基幹系システムランニングコストを1/10に削減

イタリアと日本を拠点とする2つの自動車関連サプライヤーが統合して誕生したマレリ株式会社では、30年以上にわたってメインフレームで基幹業務システムを動かしてきました。システムコストが高止まりしてIT 部門の固定費を圧迫していることを問題視した同社は、オープンシステムへのダウンサイジングを決断。2020年4月までの完全移行を前提にその方策を検討した結果、Micro Focus Enterprise Developer / Enterprise Serverを採用したリホストを選択しました。2019年5月、新システムは予定どおり本稼働を果たし、システムコストはなんと1/10 に。これにより戦略投資のためのコストが捻出でき、新規開発や基幹システムのさらなる業務ニーズ対応などに活用されています。

The Overview

マレリ株式会社は、イノベーションとモノづくりで定評のあるイタリアと日本を拠点とする2つの自動車関連サプライヤーが統合して誕生しました。欧州、米州、アジア太平洋地域に約170の工場と研究開発拠点を有し、埼玉県さいたま市とイタリアのコルベッタに事業本社を置きます。グローバルな自動車関連企業として、世界をリードする技術革新とモノづくりに情熱を持って取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

The Challenge

同社では、30年以上にわたってIBMメインフレーム上で基幹業務システムを動かしてきました。営業見積システム、事業計画システム、原価管理システム、試作システム、生産販売システム、会計システムなどが含まれる大規模な業務システムで、総資産はプログラム数 約24,000本に上ります。ここで同社が抱えていた長年の課題は、メインフレームの維持費用が高額であることでした。そのためにIT コストが高止まりし、IT部門の固定費を圧迫していました。しかも、2020年からの3年間は、バージョンアップに伴ってさらなる追加費用が発生することになっていました。

また、メインフレーム上で利用していたデータ活用ツールは、同社のセキュリティポリシーにあった管理が難しくなりつつありました。さらに、このインフラにはテスト環境の用意がなく、システム改修時に大きな潜在的なリスクが存在していました。そこで同社は、メインフレームからオープンシステムへのダウンサイジングを検討、次回の契約更新時期である2020年4月までに新サーバーに移行できることを必須条件に、その具体的な方策を練ることになりました。

The Solution

リビルド、リライト、リホストと3つの手法を比較した結果、マレリはリホストを選択します。それは最も移行期間が短く、期限までの完了が見込めて、2年以内に投資回収が可能だっからでした。そしてリホストソリューションとして、Micro Focus Enterprise Developer / Enterprise Server の採用を決定しました。マレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)グローバル業務改革本部 グローバルIT部 プロジェクトリーダー(当時) 菱田次郎氏(現株式会社ディスタンス在籍)は、その理由を次のように語ります。

「まず、CICS、JCL、VSAM などIBMメインフレームとの互換機能が充実していることがありました。そして、他社リホストツールだと業務アプリケーションは“塩漬け” 前提で作り込む必要がありましたが、マイクロフォーカス製品は改修対応が可能でした。さらに、マイクロフォーカスのEnterprise Developer / Enterprise Server は日本を含むグローバルで高い導入実績を有し、信頼感がありました。加えて、当社の別システムで既にマイクロフォーカスのCOBOL製品を利用しており、技術的に信頼感が持てたことも選定を後押ししました」

同社はまた、移行パートナーとしてキヤノンITソリューションズ株式会社を選びます。マイクロフォーカス製品の取扱実績やIBMメインフレームからオープンシステムへの大規模な移行実績があること、豊富なプロジェクト経験、開発コストなどを総合的に評価してのことでした。

2015年10月、資産の棚卸を開始。プロジェクトチームは、ユーザー部門と相談しながら移行する資産を全資産の約50%まで絞り込みました。そして、2017年5月から約6か月間で移行方式設計を行った後、資産変換・構築フェーズに入っていきます。菱田氏は当時を振り返って次のように語ります。

「当社では、ダイレクト印刷といってオンラインで操作すると、その結果を紙に出力するという機能をよく利用していました。また、文字列の視認性を高めるため、オプションで当社独自の画面カラーを複数使っていたのですが、Micro Focus Enterprise Server の標準機能ではないということでした。ユーザー部門に聞いてみると、従来どおりでないと仕事ができないといいます。そうしたら、マイクロフォーカスが日本法人を始めグローバルで動いてくれて対応してくれたのです。これは非常に助かりました。もしこれらが実現できなかったら、プロジェクト自体が暗礁に乗り上げてしまったかもしれません」

菱田次郎氏

マレリ株式会社
(旧 カルソニックカンセイ株式会社)
グローバル業務改革本部
グローバルIT部
プロジェクトリーダー(当時)
菱田次郎
(現 株式会社ディスタンス在籍)

移行方式概要

移行方式概要

The Result

2019年5月、新システムは当初の予定どおり本稼働を果たしました。1つ2つ小さなトラブルはあったものの、それが解決した後は現在まで順調に動き続けています。基幹業務システムのダウンサイジングがマレリにもたらした効果は多大です。第一に、メインフレームから脱却できたことで、システムランニングコストは1/10になりました。ダウンサイジングプロジェクトへの投資も、約2年で回収できる目途が立っています。これにより、新規開発や基幹システムのさらなる業務ニーズ対応など、戦略投資のためのコストが捻出できました。

第二に、同社のITセキュリティ基準に則したデータ活用ツールを導入したことで厳密なID管理が実現、セキュリティ強化を図ることができました。
第三に、新たにテスト環境を構築、システム改修時のリスクが大きく低減しました。それだけでなく、バックアップサーバーも構築できたため、BCP対策の強化も実現しています。

新システムの運用保守は、すでに他のサーバーシステムを見ていたチームが担うことになりました。インフラを担当するマレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)グローバル業務改革本部 グローバルIT部 インフラリーダー 中村安行氏は、次のように語ります。「今回、運用保守チームが新システムも引き受けることができたのは、Micro Focus Enterprise Server のGUIが充実していたからでしょう。コマンドを駆使して作業しなくていいという利点は、彼らの負担を減らしています」

また、新システムで処理速度が向上したことにより、ユーザー部門にもメリットが生じました。夜間バッチタイムが短縮されたため、オンラインシステムのサービス利用可能時間が拡大したのです。これまではシステムごとに利用可能時間が異なっていたのですが、すべてのシステムが朝7時から夜23時まで使えるようになりました。働き方改革で時間の柔軟な使い方が志向されており、この変化は歓迎されています。もちろん、ユーザー部門のみならずIT部門においても、利用時間の延長対応が不要になったことで運用の負担が大きく減りました。

「メインフレーム利用時と変わらぬ品質で、大幅なパフォーマンスの向上とIT運用の負担軽減が図れたことはとても大きな成果です。変化への迅速な対応が可能なIT基盤が構築でき、今後の戦略的な投資への道筋もできました」菱田氏はこう語り、すでに新システムのその先を見据えています。

中村安行氏

マレリ株式会社
(旧 カルソニックカンセイ株式会社)
グローバル業務改革本部
グローバルIT部
インフラリーダー
中村安行

基幹系システムランニングコスト

基幹系システムランニングコスト

Technical Keyword

メインフレーム利用時と変わらぬ品質で大幅なパフォーマンスの向上とIT運用の負担軽減を実現
変化への迅速な対応が可能なIT基盤を構築

ユーザープロフィール

マレリグループ

連 結 売 上 高

1兆8,250億円(2018年度)

従 業 員 数

約62,000名

拠 点 数

全世界に約170 の工場と研究開発拠点

マレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)

本 社

埼玉県さいたま市

創 立

1938年8月25日

従 業 員 数

22,382名(2019年3月31日現在)

事 業 内 容

自動車部品の製造・販売

ユーザー事例(PDF版)

マレリ株式会社(1.00MB)