みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

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みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

データセンター統廃合に基づき、COBOLやPL/Iを含む多様な言語で構築された業務システムのモダナイゼーションを実施
1年という短期間での刷新に成功し、保守性向上とコスト削減を実現

みずほフィナンシャルグループのプロフェッショナル集団であるみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社では、グループ内に複数存在していたデータセンターの統廃合に伴い、COBOL、PL/Ⅰを含む多様な言語で構成されていた2 つの業務システムのモダナイゼーションを決断。実績のあるRocket® エンタープライズ製品を採用してメインフレームシステムをオープン化する方法を選択しました。期間延長が許されないこのプロジェクトは、1年という短期間で予定どおり本番稼働を果たしました。

単なるレガシーシステムの更改ではなく、業務システムの最適化も実現したことにより、メインフレーム時代には手をつけられなかった積年の課題もすべて解決。システムの保守性が格段に向上しただけでなく、運用コストも大幅に削減されました。

The Overview

 みずほリサーチ&テクノロジーズ(以下、MHRT)は、みずほフィナンシャルグループの「ともに挑む。ともに実る。」というパーパス実現の鍵を握るプロフェッショナル集団です。2021 年に、みずほ情報総研、みずほ総合研究所、みずほトラストシステムズの統合により設立されました。金融機関系シンクタンクのDNA を受け継ぎ、リサーチ・コンサルティング、システムの開発・保守、AI やブロックチェーンといった先端技術の開発など、幅広い分野で〈みずほ〉の挑戦を支えており、みずほフィナンシャルグループの主要グループ5 社に位置づけられています。変化の激しい時代においても、揺るぎない未来を創造するために、同社は「解決する頭脳。」として、顧客と社会とともに歩み続けています。

The Challenge

みずほフィナンシャルグループ内にはメインフレームを含む複数のデータセンターが存在しており、そこには長期間稼働しているいくつかの業務システムがありました。そのデータセンターが統廃合されることになり、それぞれ業務システムごとに移転・更改の判断が下され、このうち2 つの業務システムについては、マイグレーションをしてオープン環境へ移転することが決定されました。

1 つは証券代行業務の一端を担うシステムで、配当金の振込データを勘定系システムなどに連携する機能を有しています。もう1 つはお客様の運営する共済制度の管理や事務を代行するためのシステムで、年金支払い額の計算なども行っています。どちらもバッチ処理システムであり、稼働開始から時間が経過し、これまでに機能追加やシステム更改を複数回繰り返してきたことから、プログラム言語がCOBOL、PL/Ⅰ、Assembler、Easy、Fortran と多岐に亘っていました。

この2つの業務システムは、大きく4つの課題に直面していました。

1点目は、統廃合により、システムが設置されている旧データセンターの閉鎖が迫っていたことです。期限までに確実に新データセンターへの移設を完了しなければなりません。旧データセンターに は他にもシステムがあり、移転案件がほぼ同時に進行します。そのため、プロジェクト計画やテストスケジュールをうまく調整し、周辺システムの移転スケジュールとの影響を最小限に抑える必要がありました。スピード感を持った対応が求められました。

2 点目は、長期稼働を続けたことによるメインフレームの周辺機器の老朽化と保守期限の問題です。メディアとしてデータの長期保存や大容量データの管理に用いられる磁気テープ装置(CMT:Cartridge Magnetic Tape)があり、お客様が必要な情報を印刷するのにインパクトプリンターを使っていました。新データセンターへの移転では、これらの周辺機器を使った業務を見直す必要がありました。

3 点目は、業務やシステムの規模に比べて運用コストが高止まりしていることでした。また、多くのジョブを手動実行している点も運用担当者の負荷となっていました。

 4 点目は、メインフレームの経験者や有識者が不足していることでした。システムを新しい基盤や新しい言語で再構築するためには、既存システムの仕様を正確に理解する必要がありますが、設計書は紙媒体でしか残っていませんでした。メインフレームの人材をこれから育成するというのも、コストや時間の観点からためらわれる状況でした。

The Solution

こうした課題に対する解決策を社内で議論した結果、同社はリプラットフォームを決断しました。 移転先となる新データセンターにはプライベートクラウドがあり、そこにWindows サーバーで環境を構築、Rocket® エンタープライズ製品を採用してメインフレームシステムをオープン化することにしたのです。あわせて、システム運用機能を改善するため、JP1 でジョブ実行を自動化することも決めました。メディアはDVD に統一、帳票は紙から電子化し、印刷発送業務をアウトソーシングすることで、インパクトプリンターを廃止しました。加えて、データエントリー機能も分散システム側に取りこむことで、システム構成自体を簡素化しました。

プロジェクト体制については、メインとなるリプラットフォーム開発をキヤノンIT ソリューションズ(以下、キヤノンITS)に依頼し、メインフレームのオープン化に伴うその他のシステム開発はMHRT が体制を組み、対応することになりました。本格的な開発に入る前に予備検討の期間、モダナイゼーションについてはアセスメントの期間をしっかりと確保し、正確な資産棚卸しを行いました。これにより、移行が難しいと判断されたPL/ⅠプログラムをCOBOLでリライトするなど、資産ごとの対応方針を整理して個々に開発を進め、システムテストで合流させるという方法を採ることができました。また、移行テストではキヤノンITS のツールを活用して現新照合を徹底的に行いました。ジョブ単位、業務単位と少しずつ確認するスコープを広げ、段階的に照合を行うことで、本番稼働にも耐え得る品質を確保することができました。

The Result

 約1年という短期間で進められたプロジェクトでしたが、システムは計画どおり完成し、安定稼働を実現しました。このプロジェクトの成功によって、得られた成果は大きく3つにまとめることができます。

 第1に、メインフレームで稼働していた2つの業務システムにおける積年の課題を解決したことです。新データセンターへの移転だけでなく、老朽化したシステムの刷新というこれまで手をつけることができなかった課題を、スケジュールも品質も確保しながら解決できました。
 第2に、システムの保守性が格段に向上したことです。散在していた言語がCOBOLに統一され、以前よりプログラム保守が容易になりました。OSがWindowsとなったことで、メインフレームの専門知識がなくとも、PowerShellによるコマンド操作やJP1でジョブ管理を行えるようになりました。これにより、保守担当者を選ぶことなく、未経験者でも開発に参画しやすい環境が整備されました。その一方で、これまでどおりJCLも使用できるので、ジョブログなどの見方などはメインフレームと変わらない部分があります。そのため、以前の運用要員がそのまま業務を継続することができ、ノウハウの継承ができています。また、このリプラットフォームを機にテスト環境の増設が容易となりました。
 第3に、大幅な運用コストの削減が実現したことです。これは、モダナイゼーションにより業務システムを最適化したことで、システム構成がこれまでよりもシンプルでコンパクトになった効果です。ハードウェア、ソフトウェアに関する費用に加え、運用や保守の担当者についても融通が効くようになり、体制を作りやすくなりました。リリースしてから半年以上経過した現在、保守案件を複数立ち上げ、同時並行で開発を進める体制が問題なく進行できているといいます。

 「移行期間を最優先としながらも、単なるレガシーシステムの更改ではなく、業務システムの最適化まで追求できました。今回のやり方でなければスケジュールも品質も守ることは難しかったと考えています。Rocket® エンタープライズ製品を用いてモダナイゼーションして本当によかったと思っています」

 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 リスク統括部 企画チーム 調査役 岡田麻由氏はこう語ります。事業環境の変化を機に、積年の課題を解決したMHRT。大きな成果を手にした陰には、Rocket® エンタープライズ製品の存在がありました。

 

岡田麻由氏

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
リスク統括部 企画チーム
調査役
岡田麻由

Technical Keyword

The Challenge
・データセンターの閉鎖
・メインフレーム・周辺機器の保守終了と老朽化
・運用コストの高止まりと高い運用負荷
・メインフレーム経験者・有識者の不足

The Solution
・新データセンター内プライベートクラウドへの移行
・Rocket® エンタープライズ製品によるモダナイゼーション

The Results
・複雑なシステムの品質を確保しながら1年で刷新
・メインフレーム時代からの積年の課題を全解決
・システムの保守性が格段に向上
・運用コストの削減が実現

ユーザープロフィール

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

本 社

東京都千代田区

資 本 金

16億2,750万円

従 業 員 数

4,093名(2024年3月現在)

事 業 内 容

リサーチ事業、コンサルティング事業、研究開発事業、ITデジタル事業