
管掌部門の異なる22業務システムのメインフレームからの脱却
「COBOL / JCLがそのまま動かせる」とRocket® エンタープライズ製品を再び指名
日本の金融インフラを支えるリーディングバンク みずほ銀行では、特定の業務領域において発生していた IBM メインフレームの運用コスト増大や保守性の低下といった課題に対応するため、2017年から大規模なリプラットフォームプロジェクトを推進してきました。その第1弾では、Rocket®Enterprise Server および Rocket® Enterprise Developerを活用し、COBOL資産を維持したままオープン環境へ移行。その成果を踏まえた第2弾プロジェクトでは、22の業務システムを対象に、プライベートクラウド上の共用オープン基盤への集約を推進。COBOLに加え、大量のJCL資産をそのまま活用できることや、第1弾で実証された高い安定性・移行効率が評価され、再び Rocket® エンタープライズ製品が採用されました。その結果、すべてのシステム移行を完遂し、予定より一年早いメインフレームの撤廃を実現。計画を上回るコスト削減に加え、エンジニアのスキルスイッチングや運用基盤のモダナイゼーションにも大きな成果をもたらしています。
みずほ銀行は、日本を代表する金融グループの一つであるみずほフィナンシャルグループの中核を担う銀行です。その源流は、明治期に創設された第一銀行、日本興業銀行、富士銀行など日本の近代金融史を支えてきた有力金融機関にさかのぼります。2000年代初頭の経営統合を経て現在の体制を築き、個人・法人向け金融サービスから大企業・官公庁向けの高度な金融ソリューション、さらにはグローバルな金融サービスまで幅広く展開しています。同社が掲げる企業理念は、「ともに挑む。ともに実る。」で、顧客や社会の課題解決に真摯に向き合い、新たな価値創造を通じて持続可能な社会の実現に貢献することをめざしています。その背景にあるのは、国内有数の顧客基盤と長年培ってきた信頼関係、そして銀行・信託・証券が連携する大きなグループ総合力です。
2017年、みずほ銀行(当時:みずほリサーチ&テクノロジーズ)では、計算サービスを中核とした包括ソリューションのシステム移行を決断しました。これは30年の実績を誇る法人顧客向け業務で、契約数は延べ1,000社を超えていました。インフラ基盤としてIBMメインフレームを利用しており、その資産は、COBOLプログラムにして約6,000本、JCLで約5,000本に上りました。近年はメインフレームの運用コストに加え、メンテナンス性の低下という課題に直面していたため、新しいインフラ基盤を模索することになったのです。このプロジェクトを試金石として、成果を上げたなら別の業務でも同様の形式で移行を進める予定になっていました。
ここで採用されたのが、COBOL資産を維持したリプラットフォームというプランです。システムの実行環境として、Rocket® Enterprise Server(選定時は Micro Focus® Enterprise Server)、統合開発環境として、Rocket® Enterprise Developer(選定時は、Micro Focus® EnterpriseDeveloper)が選ばれました。このプロジェクトは当初のスケジュールどおり2019年にサービスインを果たし、本番移行後もトラブルなく安定稼働を続けました。
第1弾プロジェクトの成功を受け、ただちに第2弾プロジェクトについての検討が始まりました。第2弾では、管掌部門の異なる22の業務が移行対象になりました。資産規模は全体で、COBOLプログラムで938本、JCLで6,811本を数えました。それに加え、第1弾プロジェクト分を含めたすべての資産をプライベートクラウド上に構築された「共用オープン基盤」に配置することが決定。あらためてシステム構成を詰めていくことになりました。
選ばれたのはRocket® Enterprise ServerとRocket® Enterprise Developerでした。選定の理由を、株式会社みずほ銀行 プラットフォームエンジニアリング部 カスタマープラットフォームチーム ヴァイスプレジデント 松村 翔太氏は次のように語ります。
「第1弾プロジェクトとは対象システムが異なることから、その手法を踏襲しなくてもよいと考えていました。そのため、他のプログラム言語に書き換えることも検討にあがりましたが、第1弾が安定稼働した実績を踏まえ、リスクを抑えつつ確実性の高いアプローチとして、第2弾も同様に既存資産を活かす方針としました。」

株式会社みずほ銀行
プラットフォームエンジニアリング部 カスタマープラットフォームチーム
ヴァイスプレジデント 松村 翔太氏
株式会社みずほ銀行 プラットフォームエンジニアリング部 カスタマープラットフォームチーム ヴァイスプレジデント 久保田 勝幸氏は、松村氏を補足してこう語ります。
「Rocket® Enterprise Serverについては、IBMメインフレーム上のCOBOLとJCLがそのまま動かせることを高く評価しました。特にJCLの本数はかなり多く、もし書き換えるとしたら、開発・検証に非常に手間と時間がかかります。それを懸念しました。移行を迅速に進めるには、COBOLとJCLに手を加えないのが最善でした」

株式会社みずほ銀行
プラットフォームエンジニアリング部カスタマープラットフォームチーム
ヴァイスプレジデント 久保田 勝幸氏
2020年4月、第2弾プロジェクト専任チームが結成されました。管掌部門と外部のソリューションプロバイダーの間に立って、22の業務システムの移行を同社として取りまとめるためです。ピーク時は10名が在籍し、管掌部門の都合に合わせた移行スケジュールを立てながらも、変換やテストの基準を統一し、移行プロセス全体を効率化しました。たとえば、あるプログラムソースに不具合を発見した際は、直接そのソースコードを修正せず、他のシステムに同様の不具合がないかを探し出して、全資産で同じ品質を確保できるよう徹底しました。
また、今回のプロジェクトでは、プログラム規模の大きいアセンブラが20本存在し、16本はCOBOLに、COBOLへの変換が難しい4本についてはC言語にリライトされました。
テスト工程では、同社ならではの工夫が施されました。株式会社みずほ銀行 プラットフォームエンジニアリング部 カスタマープラットフォームチーム アソシエイト 埴岡 穣氏は、次のように振り返ります。
「22の業務システムは一斉に切り替えられず、業務によってタイミングが異なりました。また、プログラム規模もまったく異なるため、テストする期間も異なります。そこで、今回は業務ごとに検証環境を構築し、管掌部門にテストしてもらい、検証が完了したら実行環境を構築して移行するという方法を採りました。工程が業務単位で完結できるため、『サーバーを再起動するから使用しないでください』といった部門横断の調整業務を行わずにすみました。これは、1つのサーバーに環境を複数構築できるRocket® Enterprise Serverの優れた仕様によって実現したもので、非常に助かりました」

株式会社みずほ銀行
プラットフォームエンジニアリング部 カスタマープラットフォームチーム
アソシエイト 埴岡 穣氏
2021年10月、最初の業務システムがデータセンター上に構築されたWindowsベースの共用オープン基盤への移行を完了しました。そこから続々と他のシステムも切り替えを果たし、2022年9月にはすべての対象業務システムが新しい環境へ移行を完了し、いずれも今日まで安定的に稼働しています。本移行により、メインフレームからの脱却を実現し、計画より一年早い目標達成で想定以上のコスト削減が実現しました。
また、メインフレーム担当エンジニアは、今回構築された後継基盤を始めとしてさまざまなオープン環境の担当になり、スムーズなスキルスイッチングを果たしています。実は久保田氏もその一人でした。
「Rocket® Enterprise Developerに感銘を受けました。ふつうのPCにインストールしてCOBOLやJCLを動かせる。メインフレームがまるでこのPCの中にあるようです。メインフレームで完結していた時代には、PCでいくらプログラムを作っても単体テストすらできず、出勤してメインフレームに接続する必要がありました。しかし、今やこれがあれば単体テストまではPCで可能です。また、AMCソフトウェアジャパンはサポートも迅速で、こちらが何か発信すると最初の回答がすぐ返ってくるのがいいですね。COBOL・モダナイゼーション関連のWebセミナーや有償トレーニングも開催しており、コロナ禍の最中に活動を始めたわれわれチームにとって力強い味方でした」(久保田氏)
松村氏も、第2弾プロジェクトの現在を次のように評価しています。
「インフラ基盤を担っている立場からは、安定的に稼働を続けてくれていることをうれしく思っています。ここ6~7年見てきましたが、Rocket®Enterprise Serverに問題があって環境が停止したことはありません。この共用オープン基盤が止まると即座に緊急事態となるため、大変すばらしいことだと感じています」
課題を抱えていたメインフレームに関し、2017年からの長期プロジェクトでついにリプラットフォームを完遂、みずほ銀行はコスト削減とエンジニアの スキルスイッチングを実現させました。



The Challenge
・管掌部門の異なる22業務システムのオープン移行
・数あるCOBOL、JCLプログラムのスムーズな移行方法確立
The Solution
・リプロジェクト専任チームを発足
・実行環境として Rocket® Enterprise Server、IDE として Rocket® Enterprise Developerを採用
The Results
・当初のスケジュールどおり移行を完了
・一年早いメインフレーム撤廃で想定以上のコスト削減を達成
・メインフレームエンジニアのスムーズなスキルスイッチングを実現
本 社
東京都千代田区
資 本 金
1兆4,040億円(2026年3月31日現在)
従 業 員 数
連結23,356人(2026年3月31日現在)
事 業 内 容
預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務、社債受託および登録業務、附帯業務