Enterprise Developerで開発したアプリケーションは、内蔵されたIBMメインフレームの開発用擬似環境を使用してテストを行うことができ、JCLのサブミットや3270エミュレーターを使用したCICS、IMSトランザクションを実行することができます。各IDE内ではデバッガを使用したステップ実行や値の確認などのデバッグ機能を利用することにより、単体テストの効率化と品質の担保を支援します。
テストで使用する SAM/VSAM データファイルを対話型で保守するGUI ユーティリティもデフォルトで装備しています。このデータファイルツールは JES 機能のカタログファイルと接続してデータをメンテナンスすることもでき、EBCDIC 文字コードデータにも対応しています。
クロス開発の場合、Enterprise Developer内で構文チェックされ、単体テストによってロジックの正当性が保障されたアプリケーションは、IBMメインフレーム上で再コンパイルされ実稼働に入ります。パーソナルコンピュータ上で十分に品質チェックされたアプリケーションは、高い確率でIBMメインフレーム上でも正しく稼働しますので、コンパイル・テスト・デバッグで消費するIBMメインフレーム資源の節約に貢献します。
Enterprise Developerは単独の製品としてもアプリケーションの開発生産性向上に活用いただけますが、このほかに統合テスト環境製品である Enterprise Test Serverや、実稼働製品であるEnterprise Server へ移行するための開発環境としても利用できます。
COBOL、 PL/I 開発環境である Eclipse またはVisual Studio へ、既に導入済みの構成管理、要件管理、テスト管理などのフレームワークをプラグイン経由で統合することができます。構成管理ではGit、Microsoft Team Foundation Server、 Subversion などのプラグインを自由に選択し、ソースコードの世代・変更管理を行うことができます。
これによってアプリケーション開発のライフサイクル全体を支援するシステムを構築することができます。
Enterprise Developer に内蔵されている Micro Focus の COBOLコンパイラは、IBM メインフレームのクロス開発で半世紀にわたり活用されてきたノウハウと実績から、IBM COBOLコンパイラの各バージョンに対して高い互換性を持っています。このバージョンを「言語の方言」としてコンパイルすると、その挙動を模倣する多数のコンパイラ指令が暗黙的に指定され、移行作業の負荷を軽減することができます。
Enterprise Developer でコンパイルチェック済みのプログラムは、クロス開発時にIBMメインフレーム上の再コンパイルでも非常に高い確率で正しく動作します。また、リプラットフォーム時には高い互換性を保ったモダナイゼーションが可能となります。
ANSI規格準拠のPL/Iコンパイラが、レガシー化したPL/Iアプリケーション資産のモダナイゼーションを支援します。
(注: ANSI規格に準拠しないPL/Iプログラムではモダナイゼーションの際、書き換えが必要となる場合があります。)
PL/Iアプリケーションのサポート環境は以下の通りです。
開発環境に内蔵された疑似メインフレーム環境が、メインフレームと互換性のあるJCL, CICS, IMS のテスト・デバッグ環境を提供しています。
JCL で使用されている SORT, GENER, AMS, FTP などのIBM標準ユーティリティのエミュレーションをサポートしており、ジョブ全体としての流れにて単体テストを行うことができます。
CICS 環境では、EXEC CICS コマンドをほぼフルサポートしており、実際に 3270 エミュレーターからBMS画面を通じてCOBOLトランザクションプログラムを起動してデバッグすることができます。例えば、3270端末エミュレータからトランザクションを実行すると、COBOLプログラムのデバッグセッションが開始します。
IMS環境では、IBMメインフレーム上でアンロードされたIMSデータベースを PC 上の疑似 IMS 環境にロードすることでメインフレーム環境と同様のIMSアプリケーションの単体テストが可能となります。COBOLプログラムはIBMメインフレームと同様の CALL ‘CBLTDLI’ または EXEC DLIコマンドを発行することができます。IMS/DCについてもトランザクション定義を設定することによってMFS画面を経由したCOBOLプログラムのテスト・デバッグが可能となります。
Enterprise Developerは64ビットのベースイメージをご提供しており、DockerやPodmanの利用をサポートしています。